内容説明
近‐現代日本を深層まで読み解いてきた著者がいま生まれくる新たな知の力動を読む。混迷する思想界から、原発・復興・ポピュリズム・経済低迷等の難題に、真に向き合う力のある論考を拾い上げる王道の時評集。『朝日新聞』論壇委員担当時メモ、コラム「あすを探る」、『週刊エコノミスト』連載「読書日記」2年分を所収。
目次
『朝日新聞』論壇メモ(二〇一一年四月;二〇一一年五月;二〇一一年六月;二〇一一年七月;二〇一一年八月 ほか)
「読書日記」(『週刊エコノミスト』連載)(二〇一一年一〇月 報道写真と芸術写真の間;二〇一一年一一月 洪水前の不安な繁栄;二〇一一年一二月 安全保障の新たな構想;二〇一二年二月 「若者」というカテゴリーの不毛;二〇一二年三月 限界集落と地方再生 ほか)
著者等紹介
小熊英二[オグマエイジ]
1962年生まれ。東京大学農学部卒業、出版社勤務を経て、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了。現在、慶應義塾大学総合政策学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
128
小熊先生が2011年の4月から2年間にわたり朝日新聞の論壇委員として寄稿したコラムと、そのほかの雑誌に書かれた書評をまとめたものです。さまざまなメディアに掲載された人の論文や意見などをある視点でまとめてそれについてご本人の意見を書き記したものです。ちょうど東日本大震災の直後であったので、かなりな意見が出ていてそれについてかなり読ませてくれました。これだけまとまって様々な意見を読むと自分が埋没するような感じを受けるのですがそうならないのは大したものです。2017/02/11
壱萬弐仟縁
30
どんな本を読んだらいいのか困っている人は、本書だけで相当な論稿があり、それらを的確に論評されている本書を歓迎するであろう。こんな論評ができれば素晴らしいと思う。私には力不足で無理だが。今では再読基準本を提起している本とも言える。ゴシ太箇所は著者、論稿タイトル。そこだけみて、周辺に視野を広げる読み方でもよい。2011年7月で、伊藤光晴「経済学からみた原子力発電」『世界』8月号は、歴史や思想からも興味深いという。国策による補助なしに成立しない原発。2016/01/26
勝浩1958
10
小熊氏の作品はいつも私をわくわくさせてくれます。数年前の社会の動向を振り返ることができました。今に至っても様々な問題は解決していません。原発事故、震災復興、米軍基地問題、領土問題、歴史認識、改憲問題など、日本の将来に暗い影が忍び寄ってきそうです。問題解決を政治家に丸投げするのではなく、私たち国民のひとりひとりが考えて行動しなければならないと、改めて気づかされました。2016/01/30
mori-ful
5
朝日新聞論壇委員会向けに作成したメモと週刊エコノミストで連載した読書日記で構成(13年3月まで)。フランクに書いてあるため、論者論文への率直なコメントが面白い。前書は一種の新聞社・出版社論としても読める。2016/02/03
hiratax
5
小熊節全開。後半の読書日記はじっくり読める。インド日記のような、彼の日録を読んでみたい。2015/12/15