出版社内容情報
「ハウジング」の社会学の幕開け!
「住まい」について何ひとつ問題のない社会は存在しないでしょう。しかし、住宅問題の語られ方、そして問題の解決の仕方は、社会によって大きく異なります。本来、都市、家族、福祉など多分野にかかわる住宅の研究は、日本においてはもっぱら建築学が主導してきましたが、欧州を中心により広い社会科学の諸分野から新しい成果が生まれています。その一つの画期をなしたのが、住宅研究の認識論から説き起こし、構築主義の視点を導入しつつ、比較福祉国家論との接続を果たしたケメニーの研究です。イデオロギーと住宅供給システムの関係を読み解き、「福祉レジーム」と住宅保有形態の密接な関係を喝破した本書は、ハウジングの社会学の未来を拓く古典と言えましょう。訳者は東京大学准教授の祐成保志氏。
内容説明
ハウジングは福祉国家の「ぐらついた柱」か?それとも「土台」か?ハウジングを初めて本格的な理論的考察の俎上にのせ、現代ハウジング研究の突破口を開いた孤高の社会学者ケメニー。初の邦訳。
目次
第1部 ハウジングとメタ理論(ハウジング研究の学問分野としての基盤;ハウジング研究の認識論的基礎)
第2部 理論の奪還(ハウジング研究における国家への回帰;比較ハウジング研究における単線論の批判的検討 ほか)
第3部 比較ハウジング研究における分岐論に向けて(イデオロギーと分岐する社会構造;社会構造の分岐と居住 ほか)
第4部 理論にもとづいたハウジングの社会学に向けて(居住と社会構造;終章)
著者等紹介
ケメニー,ジム[ケメニー,ジム] [Kemeny,Jim]
レスター大学でノルベルト・エリアスとアンソニー・ギデンズに学ぶ。1964年、同大学を卒業。1976年、学位論文「マクロ社会学への相互作用論的アプローチ」により、ヨーテボリ大学(スウェーデン)から博士号を授与される。英国、豪州、スウェーデンで大学講師などをつとめたのち、1996年、ウプサラ大学(スウェーデン)教授に就任。ハウジング・都市社会学を担当するかたわら、雑誌『Housing,Theory and Society』の創刊(1999年)に尽力し、2004年まで編集長。2005年、ウプサラ大学名誉教授
祐成保志[スケナリヤスシ]
1974年大阪府生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。札幌学院大学社会情報学部助教授、信州大学人文学部准教授を経て、東京大学大学院人文社会系研究科准教授。専攻は文化社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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k.shin