内容説明
帝国は検閲の基準も方法も一つではなかった。暴力的かつ曖昧な「検閲」の実態を探るとともに、戦前から戦後にかけて日本・韓国・アメリカと主体の変転する検閲の痕跡をたどる。日韓両国の研究者が「検閲」をキイワードに、文化の生産/再生産をめぐる統制の力学をあぶり出す意欲的試み。巻末に、詳細な日韓検閲年表を付す。
目次
第1部 検閲の拡張、揺れ、転移(植民地検閲と「検閲標準」;文学を検閲する、権力を監視する―中西伊之助と布施辰治の共闘;「法域」と「文域」―帝国内部における表現力の差異と植民地テクスト ほか)
第2部 検閲されるテクストと身体(「風俗壊乱」へのまなざし―日露戦後期の“筆禍”をめぐって;植民地のセクシュアリティと検閲;目に見えない懲罰のように―一九三六年、佐藤俊子と移動する女たち ほか)
第3部 アイデンティティの政治―検閲と宣伝の間(ペンと兵隊―日中戦争期戦記テクストと情報戦;ペテロの夜明け―植民地転向小説と「感想録」の転向語り;移動と翻訳―占領期小説の諸相 ほか)
著者等紹介
紅野謙介[コウノケンスケ]
日本大学文理学部教授。日本近代文学
高榮蘭[コウヨンラン]
日本大学文理学部准教授。日本近代文学
鄭根埴[チョングンシク]
ソウル大学校社会学科教授。歴史社会学
韓基亨[ハンキヒョン]
成均館大学校東アジア学術院教授。韓国近現代文学/文化
李惠鈴[イヘリョン]
成均館大学校東アジア学術院教授。韓国近現代文学/文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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