内容説明
アレントの思想と行動の根底にあるもの。全体主義の嵐のなかで故国を追われ、無国籍者としてアメリカに移住したアレントは、いかにして「世界を愛する」ようになったのか?その経緯をアレントの著作・書簡などに丹念にたどりながら、彼女の思想と行動の核心にあるものを鮮やかにつかみ出す、著者渾身の力作。
目次
第1部 世界への愛(アレントと世界への愛;キリスト教の世界と公的な領域;中世のキリスト教世界;近代社会の誕生;国民国家とその崩壊;全体主義)
第2部 ユダヤ人女性としての闘い(アレントと反ユダヤ主義;新たな公的領域の構築の可能性;アレントとハイデガー)
著者等紹介
中山元[ナカヤマゲン]
1949年生まれ。東京大学教養学部中退。哲学者、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
22
500ページまるまるアレント漬けになってそれでもなお、アレントの未読の著作に手を出したくなる、そんな決定版。決して元のテキストから離れず、明快な日本語で説かれていく。まるで、中山がアレントを憑依合体させて、私たちに文章を綴ってくれてるような。◇未来は予測できず、過去に酷い記憶を持ち、他者は怪物にもなりうる世界。でも、だからこそ動きようがある、と<公的な活動>に生き道を見出したアレントの考えは、今の私たちにとても有効に思える。『図書館戦争』や『三月のライオン』の世界のあの心地よさを、現実のものとしたいなら。2014/04/06
KAZOO
9
まずこれだけのハンナ・アレントに関する大作を日本人が書いたということがまず驚きです。前半は哲学的な部分が多いのですが、全体主義について書かれているところや、第二部のユダヤ人としてのハンナ・アレントの生涯とくにアイヒマン裁判についてのところは映画を見た関係もあり興味深く読ませてもらいました。2014/03/12
iwasabi47
1
アレントの主要な業績と生の関りを結びつけて明快に論じられている。彼女の人生に付いては思索との関連での言及に留まる。彼女の著作への手引きにはもちろん、中山氏自身の業績(明示的ではないが、フーコーの生-政治やパイデイア)との繋がりも関連づけられ興味深い。第九章ハイデガーとアレントの章は経緯や思想の対比が明快で素晴らしい。最近新書で『アレント入門』を上梓出されたが、これ元本なんだろうなw2017/02/23
篁
1
日付は適当。アレントの映画を見たころに読んだ。議論は決して平易ではないけれど、中山さんの説明はわかりやすい。2015/04/01
URI(病気養生
0
アレントの著作をだいたい抑えており、これ読めば結構事足りる。すごい本2018/07/12