内容説明
「庶民派」井伏鱒二は、漂流民、亡命者、移民なども多く描いた。彼の作品に見られる異種混淆性に「可能性の中心」を見出し、“近代”の奇妙さを炙り出した、気鋭の力作評論。
目次
作家イメージの系譜学―「庶民文学」という評価の形成
「ナンセンス」の批評性―一九三〇年前後の諸作品
観察者の位置、あるいは「ちぐはぐ」な近代―「朽助のゐる谷間」
シネマ・意識の流れ・農民文学―『川』の流れに注ぎ込むもの
「記録」のアクチュアリティ―「青ケ島大概記」
“あいだ”で漂うということ、あるいは起源の喪失―『ジヨン万次郎漂流記』
歴史=物語への抗い―『さざなみ軍記』
「純文学」作家の直木賞受賞―『ジヨン万次郎漂流記』から『多甚古村』へ
戦時下における「世相と良識」―『多甚古村』
占領下の「平和」、交錯する視線―『花の町』〔ほか〕
著者等紹介
滝口明祥[タキグチアキヒロ]
1980年広島県生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科博士課程修了。博士(日本語日本文学)。学習院高等科非常勤講師を経て、学習院大学文学部助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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