内容説明
いまや若者向けのコミックやJポップにも登場する『ゴンドラの唄』。その誕生から、黒澤明『生きる』での復活、そして現在まで、この歌の来歴と魅力をまるごと、初めて語り尽くす。
目次
第1部 『ゴンドラの唄』誕生(芸術座と『その前夜』劇;抱月の思惑、須磨子の舞台 ほか)
第2部 『ゴンドラの唄』の詩学(歌詠みの芸当;スキアヴォーニに死す ほか)
第3部 映画『生きる』(『ゴンドラの唄』の復活;死と再生のバルカローラ ほか)
第4部 『ゴンドラの唄』と現代文化(『ゴンドラの唄』を歌う人びと;『ゴンドラの唄』のこだま)
著者等紹介
相沢直樹[アイザワナオキ]
1960年、東京生まれ、東京大学大学院博士課程(露語露文学)単位取得満期退学。東京大学文学部助手を経て、山形大学人文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
58
考えてみれば、黒澤明・監督の『生きる』という映画がなかったら、私がこの歌を知ることはなかっただろう。そしてまた、大正初期の劇中歌が1世紀後の今日、これほどまでに歌い継がれることもなかったはずだ。しかし志村喬がブランコに乗って歌う名シーンも、「ゴンドラの唄」があったからこそ実現したにちがいない。作詞の吉井勇、作曲の中山晋平も、『生きる』によって、数十年後に自作の価値を再発見する。良いものはいつか誰かが評価してくれる。「ゴンドラの唄」は、それを信じさせてくれる見本だろう。2019/08/26
駄目男
2
思い起こせば確かあれは17歳の夏だったと思ふ。 ラジオを点けっ放しで惰眠を貪っていた私は、ふと、宿命の扉を開けられるように聴こえてきた歌で目が覚めた。 聴くうちに脳はすっかり覚醒し、その曲に聴き入った。 唱歌や童謡とは思わなかったが、何やら歌詞が古めかしい。 歌唱は少年少女合唱団のようで酷く私の感性を揺さぶった。 最後に曲紹介でDJはこう放言した。「曲は中山晋平さんでゴンドラの唄でした」な、な、なんと!ゴンドラの唄とは斯くも素晴らしい曲であったか。 それを学者の目を通して論考、論及したのがこの作品。2016/08/25
メルセ・ひすい
2
未来を担う前途有為の若者よっ「みなさんの時間は限られています。他の人の人生を生きて、それを無駄にしてはいけません」…最も重要なことは、自分の心や直感に従う勇気を持つことだ。「いのち短し、恋せよ乙女」。今や若者向けのコミックやJポップにも登場する「ゴンドラの唄」。その誕生から、黒澤明「生きる」での復活、そして現在まで、この歌の来歴と魅力をまるごと、初めて語り尽くす。2013/01/13