内容説明
「検閲」と表現をめぐる国際的研究。いつ、なぜ、どんな法規や制度がつくられ、どんなメディアやジャンルが対象となったか。規制はどのように受け入れられ、抵抗され、記憶され、忘却されてきたか。文学・文化テクストの生成・受容空間における検閲の作用を、日本語・英語によるバイリンガル出版で多角的に探る。
目次
検閲と検閲研究の射程
第1部 江戸から明治・大正・昭和前期にかけての出版文化と検閲(解説 抑圧と抵抗の諸相;江戸歌舞伎の検閲 ほか)
第2部 戦前・戦中から占領期・戦後にかけての文学と検閲(解説 内務省とGHQ/SCAPの検閲と文学―一九二〇‐四〇年代日本のメディア規制と表現の葛藤;事象としての検閲と幻想としての読書―谷崎潤一郎をめぐって ほか)
第3部 戦中から占領期にかけての大衆メディアと検閲(解説 大衆メディア検閲研究―メディア特殊性そして間テクスト性;映画検閲と天皇イメージ―『日本ニュース』における昭和天皇の例を中心に ほか)
著者等紹介
鈴木登美[スズキトミ]
コロンビア大学
十重田裕一[トエダヒロカズ]
早稲田大学
堀ひかり[ホリヒカリ]
コロンビア大学
宗像和重[ムナカタカズシゲ]
早稲田大学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
可兒
3
日本における検閲の概観とそれぞれの時代・権力者における差異をざっと通して書いてある。特に最後の占領期におけるGHQの川柳検閲は興味深い。後ろ半分は同じ内容が英文で書いてあるので、そっちと引き比べてみると訳し方が分かって参考になった2012/06/23
rbyawa
2
i044、面白くはあったものの戦前の政治知識に欠け、文学の検閲がメイン扱いかのような記述がちらほら、同時代の大騒動が無視されていたのもなぁ…(谷崎が中央公論そのものへの攻撃だったという説明、いや、領土に関しての意見論文は…)。それと大衆文学もほとんど触れられていなかったので、あの…メインそっち…。とはいえ文学に関しては無駄なほど詳しく江戸の頃に反骨精神とあったなどの話は非常に興味深い、明治になってからは風紀びん乱が主な用件になっていたという話も。うん切り替わってる、要は近代の反骨精神は純文学にはないのね。2018/08/03