内容説明
かつて学生のあいだに「煩悶」が大流行した。明治後半である。そのころ、高等教育を受けた「女学生」も誕生した。これら特権的若者の実態を、その「新しさ」のモデルとなった「西洋」と往還しつつ、当時のメディア・文学のなかに探る。
目次
第1章 明治の「煩悶青年」たち(「煩悶青年」とは何か;文学のなかの煩悶青年たち;明治末の『ヨーン・ガブリエル・ボルクマン』)
第2章 「女学生」の憂鬱(「女学生」というメタファー;「恋愛」の波及;「女学生神話」の確立)
第3章 「堕落女学生」から「宿命の女」へ(「堕落女学生」の行方;明治東京の「宿命の女」)
第4章 「新しい男」の探求―ダンヌンツィオを目指して(『煤煙』という出発点;漱石と鴎外の青年像―「新しい男」とは何か;「醜い日本人」をめぐって―ダンヌンツィオと高村光太郎を結ぶ糸)
第5章 女たちの物語(「令夫人」から「妖婦」へ―大塚楠緒子の作品をめぐって;遅れてきた女学生小説―『あきらめ』の意義;女たちの新たなる地平―『青鞜』に集う物語)
著者等紹介
平石典子[ヒライシノリコ]
1967年、北海道生まれ。東京大学大学院超域文化科学専攻単位取得退学。博士(学術)。専攻・比較文学。現在、筑波大学人文社会系准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rbyawa
1
j111、「煩悶青年」も「女学生叩き売り」もどちらも何冊も本を読んでいたが合わせて読んだのは始めてで、なんだかそこまで酷薄でもなんでもない青年たちが女を物扱いしなければいけないのだ、と耐えているような妙なイメージが残ってしまった。旧時代の「古い男」「地位が高いインテリ」はこの女性の扱いに普通に反対なんだよなぁ…(ちょくちょく断片だけ登場していた)。自由劇場や『煤煙』の話はわりと普通に面白かったかな…私『煤煙』は叩かれて終息したのだとばかり思ってたんだけど同時代においてもっとも目立つほどに成功してたのね…。2019/10/04
みかん
0
世紀末文学とか女性をめぐる視線とかレズビアンとか楽しめる話題ばかりだった2015/11/11