内容説明
イデオロギーの終焉が言われて久しいが、いまやますますその影響力は増大しているのではないか。マルクスからウェーバー、マンハイム、アルチュセール、ハーバーマス、ギアーツなどの思想にイデオロギーの変容をたどり、ユートピア思考と対比しつつ、社会的想像力、社会的夢のゆくえをさぐる。「偉大な読み手」リクールの面目躍如たる書。
目次
第1部 イデオロギー(マルクス『ヘーゲル法哲学批判』および『経済学・哲学草稿』;マルクス『経済学・哲学草稿』「第一草稿」;マルクス『経済学・哲学草稿』「第三草稿」;マルクス『ドイツ・イデオロギー』;アルチュセール;マンハイム;ウェーバー;ハーバーマス;ギアーツ)
第2部 ユートピア(マンハイム;サン=シモン;フーリエ)
著者等紹介
リクール,ポール[リクール,ポール][Ricoeur,Paul]
1913年南仏ヴァランスに生まれる。現代フランスの解釈学的現象学を代表する哲学者として世界的に活躍したが、2005年死去
川崎惣一[カワサキソウイチ]
1971年大阪生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科哲学専攻修了。博士(文学)。現在、宮城教育大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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抹茶ケーキ
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マンハイム以来、ユートピアとイデオロギーは異なるものとして概念化されてきたが、実際にはどちらもともに想像力の働きという点では変わらず、強すぎた場合には現実を圧殺し、弱すぎた場合には現状追認的になり、適度であれば社会を前進させるという、メリットとデメリットを持っている点でも似ていると主張。総論は面白いけど、各論は結構退屈。2017/04/06
singoito2
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マルクスからフーリエまでの文献を読みながらイデオロギーとユートピアの相補性を考えている。両者の対立という「弁証法を作動させ続けなければならない、と答えるのでは、あまりに単純である。より根本的な答えとして、われわれは循環のなかに自ら入り込まなければならず、さらにその循環をもっと螺旋にしなければならない。」P447と述べる巻末近くの言葉には深く頷かされるものがある。「弁証法」にはもう少し可能性を認めてあげても良いようにも思うけど・・・手強い1冊だけど、読む価値あり。2020/10/10