内容説明
伝統的な視空間論に挑戦し、大地と身体運動感覚を基礎とする生態光学を提唱して心理学の新しい地平を切り拓いた、ギブソンの古典的名著、待望の完訳。
目次
なぜ物は見えるように見えるのか
知覚の諸学説
視覚フィールドと視覚ワールド
網膜像の形成
知覚の精神物理学的理論
視覚的奥行きと距離に対する刺激―瞬間的な刺激作用
視覚における奥行きと距離の刺激変数―能動的な観察者
安定していて境界のない視覚ワールドの問題
物の大きさと形の恒常性
幾何学的空間とかたち
意味
学習
空間知覚と空間行動
著者等紹介
東山篤規[ヒガシヤマアツキ]
1974年大阪市立大学文学部人間関係学科卒業。1978年同大学院文学研究科後期博士課程(心理学)退学。現在、立命館大学文学部教授。文学博士
竹澤智美[タケザワトモミ]
1999年立命館大学文学部哲学科卒業。2001年同大学院文学研究科博士課程前期課程(心理学)修了。現在、立命館グローバル・イノベーション研究機構客員研究員。文学修士
村上嵩至[ムラカミタカシ]
2005年立命館大学文学部心理学科卒業。2007年同大学院文学研究科博士課程前期課程(心理学)修了。現在、同大学院文学研究科博士課程後期課程(心理学)在籍。文学修士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
眼があるにもかかわらず見る。人は網膜像を見ているのではない。人は面と肌理のパターンから奥行きを知覚している。この2つの刺激要素から肌理の勾配によって「見ること」を定義した著者は、環境の中に知覚があるという仮説を立てる。知覚されたこの「見え」は視覚フィールドと呼ばれる。この仮説では、地理的傾きや姿勢が変われば肌理の勾配も変わるはずだ。が、変わらない面も見出される。変化する世界で何かを見ようとする観測者が動き回って探索する際に、不変項と呼ばれるものを頼りにするからだ。知覚ワールドが作られるのはこのためだろう。2017/09/20
さとす
1
一読。認知心理学、特に知覚心理学徒にオススメです。2013/02/08
アルパカさん
0
ギブソンの処女著作(1950)。アフォーダンス論に至る前段階の比較的オーソドックスな視覚論ながら、動きのなかに見いだされる不変項に認知の根拠を求めたり、意味の概念を奥行きや縁などへ拡張したりと、後年の革新的な思想の萌芽が見られて興味深い。ただ最初にこれを読んでしまうと、ギブソンあんまり面白くねーな、ともなりかねないので、できれば『生態学的視覚論』を読んでからの方が良いと思います。2017/08/09
yzw
0
アフォーダンスの基礎を学ぼう。2013/03/02