内容説明
17世紀オランダ、ひとりの天才のもと、科学技術と芸術が出会い、驚くべき光と色彩が生まれた。透徹した論理と実験で突き止められた、フェルメールのアトリエと制作の秘密。
目次
1章 カメラ・オブスクラ
2章 カメラ・オブスクラを用いたという発見
3章 カメラ・オブスクラを教えたのはだれか?
4章 描かれた部屋はどこにあったか?
5章 フェルメールの絵の空間を再現する
6章 謎に迫る
7章 フェルメールのアトリエを再現する
8章 反論に反論する
9章 フェルメールの絵の様式への影響
著者等紹介
ステッドマン,フィリップ[ステッドマン,フィリップ][Steadman,Philip]
ロンドン大学大学院建築学・都市計画研究科教授。ケンブリッジ大学の学部と大学院で建築学を学ぶ。ケンブリッジ大学講師、オープン・ユニヴァーシティ教授などを経て、1999年より現職。専門は建築学、都市計画と環境設計。1990年から1年間、デルフト工科大学建築学科の客員教授をしたこともある。フェルメール以外の画家の絵画についても、描かれた空間の3次元的再現を試みている
鈴木光太郎[スズキコウタロウ]
新潟大学人文学部教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専門は実験心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaorin
8
天文学者ケプラーが「カメラオブスクラ」と命名した投影装置を、フェルメールは使っていたのか?資料が乏しく賛成意見も、反対意見も説得力に欠けるように思われた。 ただ、 ・デッサンの跡がない(カメラオブスクラを使用?) ・キャンパスの消失点にピンを刺したらしき穴がある(他の方法で描いた?) という点など、どちら側にも納得させられてしまった。 フェルメールの絵は現代の写真のようで美しいけれど、写真のように時間を切りとっている感はなく、ある一定の時間の流れを感じさせる。どちらにしても稀有な画家だと改めて思った。2019/05/11
眠り姫
2
こんなに緻密な分析をされるとは、フェルメールも思っていなかったのではないでしょうか。歴史上の人間関係、科学の発達、科学的な分析、様々な角度からの考察は大変興味深く、著者の並々ならぬ情熱を感じます。2014/07/12
ぼにい
2
ある種のミステリー本。フェルメールがカメラ・オブスクラ(画像を保存再現する機能がないピンホールカメラ)を用いて絵を描いたことを確認するために、古い文献を読み、絵の中の部屋を再現し写真を撮って比較する。図録や遠近法の基本などを参照しながら読めば面白さと納得感が増す。読了後は使ったに違いないと確信するのだけど、直接的な証拠はなにひとつないので、真実は藪の中。正確な遠近法の作品ではあるが、瞬間をとらえた写真風ではなく、描いている時間が塗り込まれているかのようなたたずまいがフェルメールの魅力なのかと思う。2011/04/25
メルセ・ひすい
2
14-24 赤29 1666年英中東部でニュートン 24歳でプリズム発見。ケプラーも同じ頃、そしてフェルメールも…科学者は画家だった。そして、建築家も画家なのだ!カメラ・オブスクラをめぐる論争 反論に対する反論。でも当時、眼球の原理は既知ではなかった。17世紀オランダ、ひとりの天才のもと、科学技術と芸術が出会い、驚くべき光と色彩が生まれた…。透徹した論理と実験で突き止められた、フェルメールのアトリエと制作の秘密を解き明かす。そこから見える、ジャポニズム、江戸北斎の画家彫刻家としての天才ぶりが2010/12/05
cocolate
1
壁に投影したのか、隣にめり込んだ部屋を作ったのか、どっちなのかな。左右反転の像も半透明の像もキャンバスに転写しないとならんのかな。コピー機もつかったってこと・・・。 それにしても、なんで遺品の中にカメラ・オブスクラがないのか?知られちゃいけない作業だったんかい?レーウェンフックにコッソリ処分してもったのだろうか。 ううむ。17世紀のオランダに魅了されてきた。 http://www.vermeerscamera.co.uk/home.htm2019/07/08