内容説明
フーコーのこの「考古学」の方法は、どのようにして考え出されたか。初期の代表作『狂気の歴史』『臨床医学の誕生』『言葉と物』などを通して、初発にあった“狂気へのまなざし”から考古学、系譜学への道筋を明らかにし、新資料のカント論において壮大な人間科学批判にいたる「フーコー再入門」。
目次
第1章 フーコーの初期―『精神疾患とパーソナリティ』
第2章 狂気の経験―『狂気の歴史』
第3章 狂気と文学―『レイモン・ルーセル』
第4章 死と科学―『臨床医学の誕生』
第5章 考古学の方法―『知の考古学』
第6章 思想の考古学―『言葉と物』
第7章 人間学の「罠」と現代哲学の課題―「カント『人間学』の序」
著者等紹介
中山元[ナカヤマゲン]
1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。哲学者・翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい
4
13-112 赤56★そう、砂浜に描いた顔のように消えていく「人間」にこめられたのは、フーコーの絶望ではなく期待…そうした期待を継承する若い世代へ向けた啓発の書。…★歴史的なアプリオリ…フーコーの概念、この概念は「耳障り」である。彼はこれをカントのテキストから取り出した。この概念は、「経験に先立つ」の意。人間が何かを経験する為には、感性の内には空間と時間という形式が予め備わっていなければならないし、悟性の内には、因果関係等を定めるカテゴリーと言うものが予め備わっていなければならない。これらは人間が認識※2010/07/04
mittsko
3
評伝の体をとりつつ、初期から前期のフーコー思想の解説、ただそれだけに徹する一書(中期から後期、晩期をそれぞれ論じた別の2冊もある)。大したフーコー読みでもないボクに本書を評価などできないが、とにかく楽しく読んだ。注を別に本文329頁の大著、読み飛ばすつもりが読み飛ばせなかった。思想家の評伝かくあるべし、というお手本のひとつ! 実に見事な「作品」だと感服した。ボクがとくに面白く読んだのは、『知の考古学』を取り上げる第5章だが、今後も初期フーコーを知りたくなったら、繰り返し本書に立ち戻ることになるだろう2017/12/14
びん
1
3冊の図書でフーコーの思想のながれを掴むシリーズの最初の1冊。これは、最初期から前期あたりのフーコーの考えを知る手伝いをしてくれる。フーコーの著作を直に読むより圧倒的に読み易い。たとえも面白い。でも、すんなりは読めなくて、ノートをとりながら一ヶ月くらいかけて読んだ。はじめにあとがきを読んでおくと、この本の見取り図がわかって楽かも。フーコーの思想の流れ全体を著者の視点から把握してみたいので、また余力があれば、残りの2冊も読みたい。2017/11/10