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内容説明
「例」のもつ両義的性質=範例性を切り口に「文学」の本質を解き明かしたデリダ。その理論を『千夜一夜物語』に適用し、世界文学として読み解く、斬新な文学理論の誕生。
目次
第1部 ジャック・デリダにおける「範例性」の概念と「文学」(“デリダの思想”と「文学」と「範例性」;「範例性」概念の展開;「自己」の「範例性」;虚構文学の「範例性」 ほか)
第2部 現代的テクストとしての『千夜一夜』―文学における「範例性」のモデルとして(『千夜一夜』と文学研究;『千夜一夜』の生成過程と本質的可変性;『千夜一夜』の越境性―離接的テクストとして;『千夜一夜』の汎=反復性―テクスト構成原理としての「範例性」 ほか)
著者等紹介
青柳悦子[アオヤギエツコ]
1958年、東京都に生まれる。筑波大学文芸・言語研究科博士課程修了。1991‐93年、フランス社会科学高等研究院に留学。現在、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授。専攻、文学理論。訳書『言葉の国のアリス―あなたにもわかる言語学』(ヤゲーロ著、1997年、夏目書房)で渋沢・クローデル賞特別賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tuppo
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教訓を学ぼうとする姿勢そのものがそこで学び落とされる。千夜一夜は固定した道徳観価値観を越え出ることを勧める精神の越境性の場でもある。常識的な概念や諸学問において慣習化された思考を超えて思考しようとするとき人は本来的に自分が思考しえないものに向かっていることを認めるほかはない。自らを知に到達しえないものと規定するところにしか真の思考はない。自己のあり方に対する決断も成立しえないだろう。名付けること固有名で呼ぶことは実はその人のユニークを抹消する暴力性を伴っている。2016/01/26
tuppo
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再読。帰納により構成するものは大域的であろうとしても大域自体ではありえない。他者に特個性を与えるやり方は目からウロコ。確かにその通りのような気がする。まだ気がするだけなのでもう少し自分の言葉にしてみる。2013/12/06
tuppo
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面白い。千夜一夜自体には興味ないけどホストモダン的な視点の実践に例がほしいってとこで求めるものが同じだったからか。演繹と帰納。ローカルとグローバル。積分形で表示しないと具体的計算ができないけど微分型の表示によって大局がみえたり方針が浮かんだりする。帰納による価値観、自分の正しさの構築と絶え間ない修正。大変。自分らしさを追求する典型的注意点として強引な一般化及び謎の権威化。買おうと思ったけど高いよ。2013/11/29