内容説明
私たちは、住居に何を問い、何を失ってきたのか。明治期以降の住宅言説を「商品=メディアとしての住宅」という視点から丹念に読み解き、住宅問題をとらえなおす新たな視座を提示。
目次
第1章 住居の社会学的把握(交渉過程としての住居;モノとヒト―マテリアルな交渉 ほか)
第2章 啓蒙(日常生活の焦点化;生活改良運動の展開 ほか)
第3章 動員(初期住宅調査の住居像;診断・治療・予防―都市空間のセキュリティと住居 ほか)
第4章 産業化(デザインをめぐる闘争と専門家集団;住宅手引書と体験記 ほか)
終章 日常生活批判に向けて(近代住居空間の支柱;危機の意識化と日常生活批判 ほか)
著者等紹介
祐成保志[スケナリヤスシ]
1974年大阪府生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。札幌学院大学社会情報学部助教授を経て、信州大学人文学部准教授。専攻は文化社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鵐窟庵
4
本書は主に戦前の住宅政策を言説の面から分析している。啓蒙主義的な住宅政策は、住環境の衛生水準、生活水準の改善を図ってきたと同時に、国民の生活をいくつかの型に当てはめて、住宅を類型化し大量生産のための産業化を行った。また住環境の分析としての住み方調査に、鈴木成文と今和次郎が挙げられ、前者は定量的で都市部、後者は定性的で田舎部という対比が浮かび上がってくる。途中の住宅と恐怖は唐突に出てくるが、空部屋が多いと悪霊が取り憑くなど当時の住宅の迷信が紹介されている。惜しむらくは、戦後の住宅政策が不足している点である。2019/01/27
ftoku
1
「住宅(house)/住居(home)/住むこと(living)」を区別して、住居にまつわる言説空間を確認する2008/12/24