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出版社内容情報
アリに関する映画やエッセイや本は、すでにこれ以上必要かと思われるほどたくさん出ている。それでも私は、毎晩のように子供たちのベッドのわきで語られたり親たちの見るケーブルテレビのスポーツ・チャンネルで語られて崇拝の的になっているこのアイドルに、完全にのぼせ上がっているというのではないかぎり、あえて別の角度から見たものがあってもいいと考えている。もちろん、偶像視される人間が成功する現実的基盤は、その人の人生にある。しかし、そのほかにも何か、彼を誹謗中傷するものですら同意するような、少なくとも史上屈指のアスリートとしてのキャリアといった、ディティールを超えた何かがある。その何かとは、アリ現象そのもの---あまりにも世界的で永久不滅だから従来の有面人という枠にさえ入らない内省、したがって、有名人と文化とに両方との分野の見直しを促す文化的な何かがある---である。(「第1章」)より
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【関連書籍】
『 イスラーム 』 小杉泰、江川ひかり編 (定価2520円 2006)
『 文化理論用語集 』 P・ブルッカー著 (定価3990円 2003)
『 私の身体は頭がいい 』 内田樹著 (定価1890円 2003)
内容説明
ボクシングの世界に革命を起こしたモハメド・アリ=カシアス・クレイ。その言動はいたるところで話題になり、アリ現象=神話として、いまなお多くの謎に包まれている。その言動の意味を彼の生きた時代のなかにさぐり、英雄ではなく反英雄という視点から、浮き彫りにする秀逸のエッセイ。
目次
第1章 そもそもの始まり―GGはすべてのものをやっつける
第2章 名声とトリックと文化―蝶のように舞い、蜂のように刺す
第3章 トリックスターは世界をぶち壊す―俺はあんたが望むような人間になる必要はない
第4章 グローバル文化のアイロニー―ベトコンが俺を黒んぼと呼んだことはない
第5章 闇の奥への帰還―われわれが王者だったとき
第6章 トリックスターの肉体と「文化的な死」―みんないつか死ぬんだ…だから準備しておいたほうがいい
著者等紹介
レマート,チャールズ[レマート,チャールズ][Lemert,Charles]
コネチカット州のウェスリアン大学社会学教授。カルチュラル・スタディーズ、ポストコロニアリズムなどの視点から旺盛な社会研究をしている
中野恵津子[ナカノエツコ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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