出版社内容情報
バルザック、ユゴー、サンドなどが活躍し、フランス文学が最も輝いていた十八世紀、一人の有能な編集者がいたことはほとんど知られていません。P・J・エッツェルです。バルザックの『人間喜劇』を企画し、ユゴーとともに亡命を余儀なくされながら彼の詩集を刊行し、サンドと親密な関係を結び、スタンダールを発見しました。本書は、この知られざる名編集者の足跡を丹念にたどった評伝です。フランスでの作家と編集者の関係、著作権・印税の問題など、編集者・出版社から見たフランス文学の裏面が生き生きと描かれています。
エッツェルは十九世紀フランスにおける最大の編集者のひとりといってよい。バルザック、ジュルジュ・サンド、ユゴー、ジュール・ヴェルヌをはじめとして、ノディエ、ラマルティーヌ、ミュッセ、サント=ブーヴ、アレクサンドル・デュマ親子、プルードン、ドーデ、ゾラ、エクトール・マロ、ヴェルレーヌ、ツルゲーネフ、ミシュレ・エレクマン=シャトリアンなど、作品の刊行にからんでなんらかの形で世話になった作家たちは枚挙にいとまがない。エッツェルの生涯をたどることは、十九世紀のフランス文壇を縦断するに等しいといっても言い過ぎではないだろう。・・・・本書では、名編集者エッツェルが果たした十九世紀文化における影の演出者としての役割に注目して、エッツェルが関係した大作家たちのプロフィール、エッツェルが駆け抜けた時代とともに、エッツェルの生涯を語ってみたい。(「序章」より)
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【関連書籍】
『 知識の社会史 』 P・バーク著 (定価3570円 2004)
『「パリの秘密」の社会史 』 小倉孝誠著 (定価3360円 2004)
『 投機としての文学 』 紅野謙介著 (定価3990円 2004)
内容説明
バルザックの『人間喜劇』を企画し、ユゴーとともに亡命を余儀なくされながら彼の詩集を刊行し、サンドと親密な関係を結び、ヴェルヌを発見し育て上げたエッツェル。この語られざる名編集者の足跡を丹念にたどりながら、フランス文学が最も輝いていた時代と大作家たちの裏面に迫る。
目次
シャルトルっ子
出版社乱立から統制へ
輝かしい出発―『動物の私的公的生活情景』の刊行
バルザックの『人間喜劇』とエッツェル
『パリの悪魔』
二月革命の嵐
ベルギーに逃れて
ユゴーの詩集の刊行
児童出版の時代
著作権確立へのたたかい
ヴェルヌの発見
外国へのまなざし
「コレクション・エッツェル」の時代
普仏戦争からパリ・コミューンに
ヴェルサイユ派とコミューン派のはざまで
再建の時代とヴェルヌと最後の日々
大作家たちとの精算―バルザック、ユゴー、サンド
作家たちへのまなざし―ボードレールから自然主義まで
出版史とエッツェル
著者等紹介
私市保彦[キサイチヤスヒコ]
東京生まれ。東京大学仏文科卒業、同大学院比較文学科修士課程修了。武蔵大学名誉教授(フランス文学・比較文学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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