「日本人」の境界―沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮 植民地支配から復帰運動まで

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「日本人」の境界―沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮 植民地支配から復帰運動まで

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  • サイズ A5判/ページ数 778p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784788506480
  • NDC分類 210.6
  • Cコード C1030

出版社内容情報

 〈日本人〉とは何か。沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮という,近代日本が時に日本人とし時に非日本人としてきた人々をめぐる政策と言説の揺らぎを詳細に検討して,この問いを追求する。国家とは何か,国民とは何かを真剣に考えようとする人々に必読の書。

「日本」「日本人」とは、どこまでの範囲を指す言葉であったのか。この問いは、一見すれば奇異なものにみえる。現在の通念では、上記の地域のうち沖縄および北海道は一貫して「日本」だったのであり、朝鮮および台湾は「日本」ではなく一次的に「植民地」として領有されていた地域であるとされている。しかしこの区分は、じつはそれほど自明ではない。(本文より)

序章
「日本人」の境界変動/「日本」と「植民地」、そして「欧米」/「包摂」と「排除」/「政治の言葉」と「表現されえないもの」

第1章 琉球処分―「日本人」への編入
「国内に人類」への統合と排除/外国人顧問の提言/「日本人」としての琉球人/歴史をめぐる争い
第2章 沖縄教育と「日本人」化―同化教育の論理
旧慣維持と忠誠心育成/「文明化」と「日本化」/歴史観の改造
第3章 「帝国の北門」の人びと―アイヌ教育と北海道旧土人保護法
国境紛争から「日本人」へ/〈日本人の住む土地〉/宣教師の脅威/「漸化」という論理/北海道旧土人保護法の成立
第4章 台湾領有―同化教育をめぐる葛藤
台湾統治の混迷/外国人顧問の同化反対論/「殖民地」か「非殖民地」か/国防重視論と対欧米意識/「日本人」化教育の開始/巻き返す非同化論/「漸進」という折衷形態
第5章 総督府王国の誕生―台湾「六三法問題」と旧慣調査
〈事実上の立法権〉/〈台湾自治王国〉構想/折衷としての「法律でない法律」/議会側の反発/「日本人」の意味/後藤新平の台湾王国化/根拠不明の独裁支配
第6章 韓国人たりし日本人―日韓併合と「新日本人」の戸籍
踏襲された折衷案/「漸進主義」の教育/国籍における排除と包摂/同化言説の完成

第7章 差別即平等―植民地政策学と人種主義
フランス同化主義と啓蒙思想/ル・ボンと同化主義批判の台頭/「生物学の原則」/「自治」と「離隔」/「自主」のジレンマ/二つの差別の間
第8章 「民権」と「一視同仁」-植民地と通婚問題
「一視同仁」の高唱/「植民者民権」の出現/通婚と「日本人」
第9章 柳は翠、花は紅―日経移民問題と朝鮮統治論
錯綜する論壇の統治批判/デモクラットの文明的同化主義/大アジア主義者の分化多元主義/自由主義者の分離主義/「民族問題」隘路
第10章 内地延長主義―原敬と台湾
文明化としての「日本人」/「日本」編入のモデル/総督府の抵抗と「漸進」/頓挫した統治改革
第11章 統治改革の挫折―朝鮮参政権問題
総督府による統治改革/自治か参政権か/〈総督府の自治〉の浮上

第12章 沖縄ナショナリズムの創造―伊波晋猷と沖縄学
沖縄にとっての同化/二重のマイノリティ/防壁としての同祖論/沖縄ナショナリズムと同祖/排除と同かの連鎖/啓蒙知識人として/挫折した沖縄ナショナリズム
第13章 「異身同体」の夢―台湾自治議会設置請願運動
権利獲得としての「同化」/多様性への願望/植民政策学の読み換え/キリスト教徒とアジア主義者/多元的な日本、多元的な台湾/「憲法違反」の限界/引き裂かれた請願運動
第14章 「朝鮮生まれの日本人」-唯一の朝鮮人衆議院議員・朴春琴
「日本人」としての権利/内地在住朝鮮人の参政権/「我等の国家」への屈折/「一視同
仁」の壁/虚像の「日本人」
第15章 オリエンタリズムの屈折―柳宗悦と沖縄言語論争
オリエンタリズムとしての「民芸」/沖縄側の猛反発/「西洋人」としての方言擁護/「日本人」の強調/沖縄同化の最終段階
第16章 皇民化と「日本人」-総力戦体制と「民族」
「朝鮮」の否定/民族概念の相対化/平等と近代化の期待
第17章 最後の改革―敗戦直前の参政権付与
境界を揺るがす三要因/遺跡問題の浮上/超えられなかった臨界/「日本人」という牢獄

第18章 境界上の島々―「外国」になった沖縄
「少数民族」としての沖縄人/「琉球総督府」の誕生/「アメリカ人」からの排除/「日
本人」であって「日本人」でない存在
第19章 独立論から復帰論へ―敗戦直後の沖縄帰属論争
沖縄独立論とアメリカ観/保守系運動としての復帰/帰属論議の急浮上/揺らぎの中の帰
属論
第20章 「祖国日本」の意味―一九五〇年代の復帰運動
人権の代名詞としての「日本人」/親米反共を掲げた復帰運動/日本ナショナリズムの言

第21章 革新ナショナリズムの思想―戦後知識人の「日本人」像と沖縄
「アジアの植民地」としての日本/「健全なナショナリズムの臨界」/単一民族史観の台
頭/「植民地支配」から「民族統一」へ/民族統一としての琉球処分/非難用語となった
「琉球独立論」
第22章 一九六〇年代の方言札―戦後沖縄教育と復帰運動
復興活動としての復帰/方言札の復活/「日の丸」「君が代」の奨励/憧れと拒絶の同居/
「祖国は日本か」/政治変動と転換と
第23章 反復帰―一九七二年復帰と反復帰論
琉球独立論の系譜/復帰の現実化/「仮面」への嫌悪/独立論との距離/「否」の思想
結論
後発帝国主義としての特徴/国民国家における包摂/公定ナショナリズム/「脱亜」と「興
亜」/分類外の曖昧さ/被支配者の反応/有色の帝国
あとがき

 ・朝日新聞98.7.26 与那原恵 「新刊 私の◎○」
 ・朝日新聞 夕刊 98.8.24 「テーブルトーク」
 ・「週刊読書人」98.8.28 紹介 リブロ池袋店関根明子
 ・「沖縄タイムス」98.8.27  屋嘉比収氏評
 ・毎日新聞 98.8.30 池澤夏樹氏評
 ・読売新聞98.9.6 野村 進氏評
 ・朝日新聞98.9.6 吉見俊哉氏評
 ・「中央公論」98.10月号 船曳健夫氏評
 ・「出版ニュース」98.9中
 ・「サンデー毎日」98.10.4 川村 湊氏評
 ・「IZUMI」98.9月 「私の薦める3冊」小幡和子氏(九州大学生協六本松書籍部店長)
 ・「週刊文春」98.10.1 池澤夏樹氏評
 ・「公明新聞」98.10.26 岩田万里氏評
 ・「東京大学新聞」98.10.20 山脇直司氏評
 ・京都新聞98.9.9 著者インタビュー同記事、四国新聞宮崎日日新聞中国新聞岐阜新聞など
 ・信濃毎日新聞 特集「今年の一冊」萱沼紀子氏
 ・読売新聞夕刊 99.3.6 特集 「私のいる風景」鵜飼哲夫氏
 ・「Japan Mail Media」99.6.7 村上 龍氏評
 ・「朱夏」 松崎一夫氏評
 ・「沖縄タイムス」99.4月 「日本人」の枠組み問い直す 座談会(小熊英二、仲里 効、星名宏修、進行・長元朝浩)
 ・「プレジデント」2000.8.14 武田 徹氏評
 ・朝日新聞夕刊 2000.7.18 特集「沖縄から見たサミット」小熊英二氏
 ・「日本語教師まるごとガイド2001」(そうがく社)日本語を教えて2~3年の人に読んでほしい3冊。

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 【関連書籍】
 『 戦争が遺したもの 』 鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二著 (定価2940円 2004)
 『 死産される日本語・日本人 』 酒井直樹著 (定価2940円 1996)
 『 幕末・明治期の国民国家形成と文化変容 』 西川長男ほか編 (定価7875円 1995)

内容説明

話題作『単一民族神話の起源』から三年。琉球処分より台湾・朝鮮統治をヘて沖縄復帰まで、近代日本の100年にわたる「植民地」政策の言説をつぶさに検証し、「日本人」の境界とその揺らぎを探究する。

目次

琉球処分―「日本人」への編入
沖縄教育と「日本人」化―同化教育の論理
「帝国の北門」の人びと―アイヌ教育と北海道旧土人保護法
台湾領有―同化教育をめぐる葛藤
総督府王国の誕生―台湾「六三法問題」と旧慣調査
韓国人たりし日本人―日韓併合と「新日本人」の戸籍
差別即平等―植民政策学と人種主義
「民権」と「一視同仁」―植民者と通婚問題
柳は翠、花は紅―日系移民問題と朝鮮統治論
内地延長主義―原敬と台湾〔ほか〕

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かんがく

16
『「民主」と「愛国」』に続いて二作目。ナショナリズムが持つ「排除」と「包摂」の要素を、琉球や台湾、朝鮮の「日本人」への同化から読み解く。経済的に負担になる一方で、国防面で重要な近隣植民地に対して、日本の植民地政策決定者が極めて無定見だったことがよくわかる。アジアと欧米に挟まれた有色帝国主義国の日本の立場が、原敬と後藤新平、朝鮮人代議士、沖縄復帰運動などのテーマからよく理解できた。2020/06/13

Toska

12
多民族帝国時代の日本をメインテーマとする大著。大日本帝国の植民地支配は確かに欧米とは異なっていたが、それは悪い意味においてであって、被支配民族を同化したい、だが差別も残したいという過酷なものだった。台湾と朝鮮では、既得権にしがみつく総督府の動向も意外に重要なファクターであったようだ。一方、「結論」で示される視野はさらに広く、「包摂」と「排除」を両輪とした国民国家による支配と、これを踏み越える可能性にまで及んでいる。2023/09/06

ドラマチックガス

10
大ボリュームで中身も骨太。要点を一言でまとめるなら、「日本は「どこまで日本人として認めるかどうか」をご都合主義でつかいわけていた」ということでしょう。アイヌ、朝鮮、台湾重視で読み始めたが、特に後半の主眼は沖縄だった。そして、沖縄問題に関する自分の認識の低さに嫌気が差した。薩摩藩ひどいな、戦前日本ひどいな、占領期アメリカひどいな、でも、今もさほど変わらないか…という流れ。ひろゆきも、沖縄を茶化す前にこの本を読め。●沖縄ではまだ沖縄の言葉が残っており、沖縄出身の芸人さんなんかが全くわからない言葉を話したりする2023/03/19

awe

10
2週間ほどかけてようやく読破。読書メモを作成しながらなのでなかなか大変だったが、充実した読後感を得た。特に印象的だった点をいくつか。まずは官庁のセクショナリズム。立法権をはじめとする「総督府特権」が植民地政府には存在し、その廃止を目論む中央政府との攻防が戦前に生じていた。朝鮮や台湾の総督府は、それらが日本からある程度「独立」している状態を望んだ。そうした状況では好き放題に「統治」できるからである。一方、内務省や拓務省は日本への同化を志向した。こうした軋轢の他、原地住民の運動、内地出身の植民者など、様々な2021/01/24

Hiroki Nishizumi

7
良かった。実は大日本帝国はなぜ欧米のように植民地管理とせず台湾・韓国を併合したのか不思議に思っていた。本書を読んだ感想として、その結論は大日本帝国が国家として未熟であったのだと感じた。また自分自身の歴史的知識がいかに貧困であったと言うこともよく分かった。徴兵制が当初外地に適用されていなかったことを知らなかったり、当時の発想として国防の視点が想像以上に大きいことなど実に勉強になった。2020/07/17

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