内容説明
神像とは神の姿をあらわす彫刻であり、御神体として尊ばれてきた歴史から、直接人目に触れる機会が少ない。仏像に比べ知られている作例が少なく調査の機会も限られてきた神像の研究は、仏像研究に比して遅れを取ってきたと言わざるを得ない。本書は、そうした状況を打破するべく、神像研究の基礎を築き、神像史を日本彫刻史の一分野として確立する試みである。本書は三部から成る。1は神像彫刻をその成り立ちから通史的に叙述する試み、2は各尊像について資料の紹介と考察である。3では、神道美術に隣接する動物造形として、師子・狛犬、鳳凰を取り上げる。長年にわたって日本全国の神像の調査にたずさわってきた著者の集大成となる一書。
目次
1 神像彫刻を理解するために(神像の成立とその初期的展開;神像概論;八幡神 ほか)
2 神像各論(御調八幡宮の神像について;松尾大社神宮寺旧在三神像の神名;神像の成立過程からみた熊野速玉大社の神像群 ほか)
3 動物造形の諸相(師子狛犬の成立、それ以前・以後;東寺伝来の師子・狛犬像;師子・狛犬像(東寺蔵) ほか)
著者等紹介
伊東史朗[イトウシロウ]
1945年岐阜県生。1970年名古屋大学文学部美学美術史専攻卒業。京都府立総合資料館、京都国立博物館、文化庁美術学芸課主任文化財調査官を経て現在、和歌山県立博物館館長。京都国立博物館名誉館員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。