内容説明
一四~一七世紀の日本で採掘が進み、東アジア諸国に大量に輸出された「硫黄(サルファー)」と「銀(シルバー)」。その大量産出は、日本社会に新たなビジネスを生む一方で、アジアおよび世界の軍事・経済的な需要と結びついて、東アジア全体の貿易構造の転換をもたらした。本書は、文献史学と考古学の研究成果を融合させ、分析化学の解析データも援用しながら、生産・流通・交易・消費といった様々な視点から、鉱業社会の長期的変遷を追究する。さらに鉱物資源の偏在に起因する人間の競合・奪取・独占の営みを念頭に、硫黄を征したサルファー大名(大友・島津)から銀を征したシルバー大名(毛利・豊臣・徳川)への覇権の移行を浮き彫りにする。
目次
第1部 硫黄と銀の世界史(日本列島の硫黄とアジアにおける「硫黄の道」;銀の島日本に関する情報をめぐって―スペイン・ポルトガルのアジア戦略;近世初期東アジア海亥間の硫黄貿易;中国明代における銀の貨幣化―その全体的視野)
第2部 硫黄山・銀山の考古学(石見銀山遺跡における発掘調査研究の成果;博多遺跡群出土の中世初頭の硫黄;堺環濠都市遺跡から出土した硫黄)
第3部 サルファーラッシュ・シルバーラッシュの産地と社会構造(サルファーからシルバーへの時代転換;『戊子入明記』と「硫黄の道」;一六世紀東アジア海域の軍需品貿易―硝石・硫黄・鉛;近世初期石見銀の産地と産業)
著者等紹介
鹿毛敏夫[カゲトシオ]
1963年生。九州大学大学院人文科学府博士後期課程修了。博士(文学)。名古屋学院大学国際文化学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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六点