中世禅宗の儒学学習と科学知識

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  • サイズ A5判/ページ数 290p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784784220007
  • NDC分類 188.82
  • Cコード C3021

内容説明

中世の禅僧たちがもっていた卓越した経営手腕や知識・技術は何に由来するのか?本書は、禅宗寺院で経営を担当した東班衆の経済活動だけでなく、西班衆の「学問」にも目を配り、禅宗寺院や足利学校で行われた講義の口述記録「抄物」をひもとくことによって、それが中世禅宗の学問、とりわけ儒学学習と密接に関わっていたことを明らかにする。禅宗寺院では、儒学に付随して農業や数学、医学などの実用的知識が学ばれていたのである。経済活動と学問、中世禅宗の二つの側面を架橋することで、禅宗寺院の果たした役割の全体を明らかにするとともに、近世につながる科学知識の萌芽についても見通す。

目次

中世の禅宗と儒学をめぐる研究状況
第1部 禅僧の経済活動と知識形成(南北朝期における東班僧の転位と住持;室町期における東班衆の嗣法と継承;禅僧の荘園経営をめぐる知識形成と儒学学習)
第2部 禅僧の儒学と足利学校(中世後期関東における儒学学習と禅宗;足利学校と伊豆の禅宗寺院;道庵曾顕の法系と関東禅林の学問;足利学校の論語講義と連歌師)
第3部 儒学に付随する科学知識(江西龍派の農業知識;月舟寿桂と東国の麦搗歌;桃源瑞仙と武家故実の周縁;禅僧の数学知識と経済活動;中世禅僧の数学認識)
室町の文化から江戸の科学へ

著者等紹介

川本慎自[カワモトシンジ]
1975年、岡山県生まれ。2000年、東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。現在、東京大学史料編纂所准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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中村蓮

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自分なりの要約:中国禅の「生活即修行」という考え方は、東班衆と西班衆は対等という理念を生み出し、東班衆の技術が西班衆の知識と融合し、実用的な学問となり、やがて禅宗寺院の周辺の人々に伝えられ、江戸の数学や医学にもつながってゆく。 感想:中世室町の文化から近世江戸の科学へという流れの説明はなるほど腑に落ちる。数学、特に実学的数学の合理性と呪術性の共存については、現代の代表的な数学的実学である統計解析に通じるというか、本質的なものと考える。概念的操作によって現実に影響を与えようということの呪術との相同性。2023/05/26

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