内容説明
繰り返し起こる自然災害。これほど多くの災害が起きた場所にも拘わらず、なぜ人々は京の都に住み続けたのだろうか。そればかりか、なぜ被災後には速やかに都市を復旧・復興させ、以前にも増して発展させることができたのか。本書は、平安・鎌倉期の貴族の日記から平安京の季節災害とその要因(火事、洪水、旱魃、台風)を抽出し、文字情報を歴史地理学の手法で空間情報に置き換えて視覚化することで、日記をただ読むだけでは見えてこない平安京の姿を浮かび上がらせる。
目次
第1編 歴史時代の災害に学ぶ―平安の京に残された記録から(京都で描く歴史時代の災害;歴史災害のとらえ方)
第2編 京の人びとを震撼させた「火」の連鎖(火災の季節と恐るべき火の威力;市街地の3分の1を一気に焼き尽くした大火災―安元の大火 ほか)
第3編 「水」の襲来と京を流れた河川(洪水の季節と歴史―8世紀末~14世紀末の記録から;白河法皇と「賀茂河の水」 ほか)
第4編 京を直撃した「風」の猛威(京を襲った歴史時代の台風―9~14世紀のデータベースから;京の歴史に残った個性的な台風―個別の台風からの分析)
第5編 京の災害と被害に学ぶ知恵(激しい「水」と「旱」の相克―洪水と旱魃との関係;終わりなき災害への対応と都市祭礼 ほか)
著者等紹介
片平博文[カタヒラヒロフミ]
立命館大学大学院文学研究科博士課程中退。東京都立大学理学部助手・立命館大学文学部助教授・教授・特別任用教授を経て、立命館大学名誉教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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