内容説明
「高麗青磁」と「朝鮮白磁」に代表される韓国古陶磁。19世紀中葉以降の近代化にともない、在来の日用品的な陶磁器が廃れていく一方で、古陶磁が「美術品」として「再発見」され、収集、鑑賞、そして研究が本格化した。その中で大きな役割を担ったのが浅川伯教・巧の兄弟である。韓国の人々とその文化に心を寄せた二人は、民芸運動の創始者である柳宗悦にも決定的な影響をあたえた。浅川兄弟の活動を軸として、近代における韓国陶磁史の誕生と古陶磁ブームの全容を鮮やかに浮かび上がらせる。
目次
第1部 東アジアの近代化と陶磁産業(近代日本の陶磁輸出―アメリカ、中国、朝鮮;日本産業陶磁の朝鮮半島への進出;日韓両国内の陶磁生産の状況)
第2部 高麗青磁の再発見とその再現(韓国陶磁研究の始まり;高麗青磁再現史)
第3部 朝鮮白磁の美の発見―民芸運動の萌芽と韓国陶磁産業への展望(朝鮮白磁の美の発見;浅川兄弟の方法論と朝鮮民俗調査;地方への視点―新たな陶磁産業への展望)
学術調査と古陶磁ブーム
著者等紹介
鄭銀珍[ジョンウンジン]
1973年韓国に生まれる。2002年来日、京都橘大学文学部文化財学科入学。2008年立命館大学大学院文学研究科人文学専攻博士課程前期修了。2013年立命館大学大学院文学研究科人文学専攻博士課程後期課程学位取得(文学博士)。2008年より大阪市立東洋陶磁美術館学芸員。専門は東洋陶磁史、とくに韓国陶磁史。2017年、第38回小山冨士夫記念賞(奨励賞)受賞。主要論文「朝鮮陶磁と浅川伯教」(『浅川伯教・巧兄弟の心と眼―朝鮮時代の美』美術館連絡協議会、2011年)(美連協優秀論文賞受賞)、「近代における高麗青磁―再発見から再現へ」(『陶説』第735号、2014年6月)(『陶説』創刊六十周年記念論文朝鮮陶磁部門優秀賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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