内容説明
日本の衣服産業は、19世紀中期からの約1世紀間に目まぐるしく進展した。しかし急速な産業化はこの分野の学術研究を混乱させ、いまだ十分な議論は積み重ねられていない。本書では、兵庫県姫路市の小規模裁縫業者(藤本仕立店)の家文書を主な史料としながら、その創業から廃業までの姿を追った。戦時経済統制や他産地の動向など、時代の流れに翻弄された同家の実態を浮き彫りにすることで、新たな切り口から近代衣服産業の展開を描く。
目次
本書の主題と藤本仕立店の概要
近代日本の衣服産業史
第1部 藤本仕立店の商品・生産・流通(生産体制と流通体制;取扱商品の主な形態―和服の商品化;取扱商品の構成―多種性の要因と意義;近現代日本で商品化された衣服)
第2部 戦時体制と衣服産業の再編(一九三〇年代までの販売圏の展開とその背景;戦時経済統制下の衣服産業;戦時経済統制下の藤本仕立店;第二海軍衣糧廠姫路本廠と生産組織;戦時経済統制下の業態と取引状況;資産の動向)
近代日本の衣服産業と藤本仕立店研究の意義
著者等紹介
岩本真一[イワモトシンイチ]
1970年7月7日生。奈良県橿原市出身。経済学博士(大阪市立大学・2010年3月)。大阪府立大学経済学部満期退学後、法政大学通信教育課程を経て経済学学士(学位授与機構)。大阪市立大学大学院経済学研究科前期博士課程および後期博士課程修了。国立民族学博物館(総合研究大学院大学)特別共同利用研究員、大阪経済大学日本経済史研究所研究員、追手門学院大学・大阪産業大学非常勤講師などを経て、大阪市立大学大学院経済学研究科特任助教、同志社大学経済学部嘱託講師、龍谷大学・園田学園女子大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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