内容説明
平安初期から院政期にかけて、みずからがもつ知識と財力によって理想的世界を実現する義務を負っている「賢者」としてふるまい、人々を悟りへと導こうとした文人貴族や摂関家の有力者、天皇・上皇がいた。一方、中世初期には、人は仏の誓願の力によってしか救われない存在であると気づき、自らは「愚者」であると自覚した法然とその周辺の人々があらわれた。過去の「賢者」と「愚者」がそれぞれに構想していった理想世界を、彼らの誓いの言葉を通して追うことで、日本浄土思想史に新たな知見を示す。
目次
第1部 賢者の王国(菅原道真の仏教信仰;「狂言綺語は讃仏乗の因とす」―勧学会とは何だったのか;院政―天皇と文人貴族たち)
第2部 愚者の浄土(貞慶の『舎利講式』と『愚迷発心集』―愚かであること(一)
法然の語り―愚かであること(二)
法然の継承者たち)
著者等紹介
工藤美和子[クドウミワコ]
1972年福岡県生。1995年九州女子大学文学部国文学科卒業。1996年佛教大学専攻科仏教学コース修了。1998年佛教大学専攻科仏教看護コース修了。2000年佛教大学大学院文学研究科仏教文化専攻修士課程修了。2005年佛教大学大学院文学研究科仏教文化専攻博士課程修了。博士(文学)。現在、華頂短期大学総合文化学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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