内容説明
本書は、一九世紀フランス象徴主義の巨匠・詩人ステファヌ・マラルメ(一八四二‐九八)について文学的考察を起点に進められた諸芸術(美術・音楽)の相関的研究から、明治近代化の黎明期に、日本の伝統芸術・文化を欧米に紹介してその価値を究めたアーネスト・フェノロサ(一八五三‐一九〇八)との関係へと至るものであり、東西の芸術文化の交流の諸相および日本文化の価値を、現代に向けて照らし出すものである。著者の一〇年にわたるマラルメ探究の成果、そのエッセンスをまとめた一書。
目次
1 文芸に見る自然観(マラルメの“無”;俳句とハイカイ;“主体”の表現;バルト再考)
2 創造における逆説性(中枢としての音楽;世紀末芸術の錯綜;ロダンが結ぶ社会と芸術)
3 芸術表現の交流(マラルメの「骰子一擲」から;マチスの“余白”、現代へ;詩と絵と書における“空無”;東山魁夷が紡ぐ東西芸術)
4 伝統文化の現代性(九鬼周造とフランス象徴主義;フェノロサの総合芸術観;フェノロサ『漢字考』と「能楽論」の文芸価値)
著者等紹介
宗像衣子[ムナカタキヌコ]
京都市生まれ。1973年京都大学文学部フランス文学専攻卒業、同大学院文学研究科同専攻修士課程修了、同博士課程単位取得退学。新ソルボンヌ・パリ第三大学文学博士。現在、神戸松蔭女子学院大学文学部総合文芸学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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