内容説明
近代日本の社会政策・社会福祉の受益者である社会的マイノリティはどのように政策形成に関与しようとし、政策に包摂されていったのか。蔓延する貧困と格差への対応を模索し続けている現代社会に、政策の受益者の動向から再構成した社会政策史・社会福祉史の実証研究を提示する一書。これまで分野史ごとに行われてきた「貧困者」「労働者」への社会政策・社会福祉史研究の動向を打破し、「都市下層社会」を形成したマイノリティに対する政策的対応を統一した視点で論じる。
目次
第1部 都市社会行政の形成と展開(都市社会行政機構の形成;府県社会行政と都市社会行政の関係構造―財団法人京都共済会を事例に;都市社会事業施設の運営と市政・地域社会―京都市児童院を事例に;都市社会行政職員の役割・特質・機能;失業救済事業と市政・地域社会)
第2部 都市社会政策と社会的マイノリティ(「不良住宅地区」と地域住民の変容;在日朝鮮人女性の自主的救済事業と「内鮮融和」―「親日派新女性」金朴春の思想と行動;都市社会政策と「内鮮融和団体」形成と変容;都市社会政策の再編成と市政・地域社会;不良住宅地区改良事業の形成と変質;一九四〇~六〇年代の都市社会政策と地域住民組織;総括と課題)
著者等紹介
杉本弘幸[スギモトヒロユキ]
1975年12月広島県福山市生。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学・大阪大学)。日本学術振興会特別研究員、龍谷大学非常勤講師を経て、京都工芸繊維大学・佛教大学・立命館大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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