内容説明
本書が扱う“陳列所”とは、地方行政府によって「物産陳列所」や「商品陳列所」などという名称を冠せられて建設された公共の陳列施設である。これらは博物館関連施設、地域物産の販売所というように、現在の活用方法が異なるだけではなく、竣工時期、意匠、規模、構造、立地環境まで様々である。この種の施設が、都市の農業・工業・商業を奨励する目的で各地に設置された経緯を検証し、制度・活動・建築を含めて都市との関わりに注目することで、明治から昭和戦前期の日本にあまねく普及した“陳列所”の実態を、豊富な図版とともに明らかにする。
目次
序章 “陳列所”研究史と本書の視座
第1章 一九世紀末における商品陳列機関の世界的流行―“Commercial Museum”あるいは“Export Samples Warehouse”
第2章 明治初期の勧業政策と陳列施設
第3章 「通商博物館」設置計画と「商品陳列所」の受容
第4章 農商務省による“陳列所”組織化の試み―貿易品陳列館設立から「道府県市立商品陳列所規程」制定まで
第5章 多様化する“陳列所”―内地・外地の“陳列所”
第6章 社会教育施設としての“陳列所”―山口貴雄による運営とその建築
結章 近代日本の“陳列所”
著者等紹介
三宅拓也[ミヤケタクヤ]
1983年大阪府豊中市生まれ。2006年京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科卒業。2011年東京都歴史文化財団東京都現代美術館専門調査員。2013年京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科博士後期課程修了、博士(学術)。現在、京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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