内容説明
緒方郁蔵は、備中国簗瀬村(現岡山県井原市)で生まれ、江戸に遊学ののち適塾に入門、多くの医書を翻訳した。緒方洪庵の義兄弟となり、医師として開業する傍ら、独笑軒塾を開いた。除痘館で種痘の普及に尽力し、土佐藩開成館の医局教頭や大阪医学校で翻訳や教育に従事した。平成26年(2014)は、生誕二〇〇周年にあたる。本書は、緒方郁蔵の生い立ちから五十八歳で没するまでの生涯を、遺された著書や資料を丹念に読み解くことでたどり、真摯に生きた幕末の蘭学者・緒方郁蔵の実像を明らかにする。
目次
第1章 生い立ち―誕生から適塾入門まで(生い立ち―家族の動向と山鳴大年の漢学塾;江戸における漢学塾・昌谷精渓塾と蘭学塾・坪井信道塾 ほか)
第2章 独笑軒塾の開塾とその展開(独笑軒塾はいつできたか―年代・塾則・場所;どんな人が入門したか―「門生姓名」五十音順検索 ほか)
第3章 土佐藩の医学・洋学研究と緒方郁蔵(大坂における土佐藩の仕事―安政の辞令;土佐本藩勤務時代―慶応二~四年(明治元年))
第4章 大阪医学校時代(明治天皇の行幸と病院建設;大阪仮病院(第一~二次)の開設 ほか)
第5章 資料(「研堂緒方郁蔵先生伝」;研堂緒方先生碑 ほか)
著者等紹介
古西義麿[コニシヨシマロ]
昭和10年兵庫県丹波市生。近畿大学理工学部(二部)・関西大学文学部史学科文学博士(関西大学)。武田薬品工業・大阪市立図書館・大阪青山短期大学(現大阪青山大学/非常勤)。現職、除痘館記念資料室専門委員(緒方洪庵記念財団内)・橋本まちかど博物館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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