内容説明
道徳的善悪そのものを疑うまったく新しい倫理学教科書。
目次
アインジヒトとの遭遇 何が問題か?
プラトンとアリストテレス(真の幸福について)
人はみな自分の幸福を求めているか?
ホッブズとヒューム(社会契約について)
社会契約は可能か?
ルソーとカント(「自由」について)
利己主義の普遍化は不可能か?
ベンサムとミル(功利主義について)
利己主義と“魂”に対する態度
ニーチェとキリスト教道徳
現代倫理学(メタ倫理学と正義論)
これからの論議のどこがつまらないか?
なぜ道徳的であるべきか?
語りえぬことについては黙ってやらざるをえない
著者等紹介
永井均[ナガイヒトシ]
1951年東京都に生まれる。1974年慶応義塾大学文学部卒業。1982年慶応義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得。現在、千葉大学教授(専攻/哲学・倫理学)
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感想・レビュー
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takizawa
5
徳倫理・義務論・功利主義等の規範倫理学と言われる分野でも「〜することは善いか」という問いよりも「『善い』とは何か」というメタ倫理学的な議論が多い。本書も著名な思想家を採り上げながら「なぜ道徳的に悪いと知りながら悪いことをしてしまうのか」みたいなことを延々と考えていく。その意味で一般的な倫理学の入門書とは違った思考トレーニングができると思う。メタ倫理学(反実在論・実在的な内在主義・実在的な外在主義)と正義論(リバタリアニズム・コミュニタリアニズム・リベラリズム)の間の弱い繋がりについてもう少し考えてみたいな2011/06/01
テツ
2
倫理学って大学卒業した瞬間から大抵の人間には全く接点のない学問になるよな。面白いのに。倫理について、倫理学についての本というよりもその欺瞞生について考察する本。いわゆるメタ倫理学的な事柄について延々と記されている物よりも遥かに色々と考えることができて良かった。倫理も道徳も学んだことにただ洗脳されないように、自ら思考する力と、疑いを持つ余裕を持たなければ。2013/08/21
じゃ
1
難解だった。2015/02/21
grafi
1
倫理学をざっと紹介しつつ、その欺瞞性に大して徹底的に問いを立てている。確かに頭を使う本だが、その問いの立て方と語り口に引き込まれる。初めて読み終わった永井均さんの本なのではっきりしたことは言えないが、本書冒頭でも書いていた通り、これが永井均らしい問いの立て方なのかな。 / 確かに洗脳されるのは怖い。僕はその危険を望まないので、どこかで自分なりの折り合いをつけないと。2011/06/05
ゆうき
1
倫理というのは私の生きる上での非常に素朴かつ重要なテーマだと思うので近いうちもう一度読み返して自分の考えをとことんひねり出したいと思う。一回きりじゃアインジヒトたちの対話に振り回されているうちに終わってしまう。2010/05/11