出版社内容情報
川内有緒[カワウチアリオ]
著・文・その他
内容説明
世界一のお役所の舞台裏は、驚きの連続だった!新田次郎文学賞を受賞した川内有緒が、パリと国連での5年半におよぶ体験をユーモラスに描いた、30代女性のライフストーリー。
目次
序章 エッフェル塔は輝いて
第1章 迷宮と穴蔵
第2章 国連のお仕事
第3章 パリの空だけが見えた
第4章 転がる石
第5章 不思議の国の魔法はとけて
著者等紹介
川内有緒[カワウチアリオ]
東京都出身。日本大学芸術学部卒業後、アメリカ・ジョージタウン大学にて修士号を取得。コンサルティング会社やシンクタンクに勤務し、中南米社会の研究にいそしむ。その合間に南米やアジアの少数民族や辺境の地への旅の記録を、雑誌や機内誌に発表。2004年からフランス・パリの国連機関に5年半勤務したあと、フリーランスに。現在は東京を拠点に、面白い人やモノを探して旅を続ける。書籍、コラムやルポを書くかたわら、アートや音楽イベントの企画にも関わり、自身でもアートスペース「山小屋」を運営(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
85
パリの国連機関(ユネスコ)に正規職員として採用された日本人女性の体験記。インターネットの公募で空席ポストに応募したことに始まる。それまでの実務は、アメリカのコンサルティング会社と日本のシンクタンクでの勤務。そこから国連組織で働く夢をたぐり寄せ、パリでの5年半に及ぶ生活をスタートさせる。住居探しに始まり、国連本部のオフィスワーク、パリの都市生活とパートナーとなる男性との出会い、ソルボンヌ大学の大学院生向けの「開発プロジェクトの事後評価」の授業を担当する話も出てくる。→2022/06/24
to boy
34
これは下手な小説なんかよりも遙かに面白い。著者の前向きな性格が素敵です。ここまでくるには死ぬような努力があったようですが、そんなこと詳しく書かないでさらりと流しているところも良い。国連の中から見てみると不都合なことがいっぱいあって、自分の稼いだお金じゃない予算を使う組織ってひどいなぁと思いました。 そして欧州の社会の人種の多さにも驚き。パスポートを複数持つのが当たり前って、日本じゃ思いもしないことだらけ。人に勧めたい一冊です。2015/11/05
よと
26
著者に国連の面接通知が通りパリで働くことになったことから始まります。ワールド単位となると物事が決まるまでの時間が長いことに驚きます。エントリーから面接まで2年!話の後半はパリでのいろいろな出来事が詰め込まれ過ぎてて1つ1つの話がぼんやりしてしまっていたように感じてしまい勿体なかった感がありました。国連で働くまでのところが一番ワクワクしたかも。2019/09/16
宇宙猫
25
★★★★ 国連で働いた5年をつづった本。国連で働く人たちを垣間見れておもしろい。 著者のパワーはすごいし、努力を努力とも思わないモーレツさに憧れる。こういう人には本部での事務仕事はつまらないかもしれない。でも、リサイクルとか改革ができないというのも日本が進んでいるからだと思う。国連加盟国の中でも環境に配慮して暗いオフィスで仕事をする国なんて日本くらいじゃないんだろうか。世界中の国に日本の努力を知ってもらいたい。2015/11/08
kan
24
国連のコテコテのお役所体制と想像以上の寛容さと、スタッフの多様な価値観や振る舞いの組み合わせが抜群に面白い。多様だからこそ、保守的な構造が必要な面もあるのだろう。UNESCOパリ本部でのドタバタお仕事エッセイだが、同時に、自分の人生を生きる自由と内なる声を聴く大切さを教えてくれる。転職の経緯には共感した。ゆっくりと水がしみ出し、流れとなり、心の奥深くに堆積した小石が転がり出す感覚。筆者にとっての小石は、現場に根ざして書きたいという思いだ。私自身も小石が転がってしまい近々新生活が始まるのでとても励まされた。2022/12/27