内容説明
中国チベット自治区のラサで、僧侶らのデモで死者が出て、北京五輪の聖火リレーへの抗議行動が活発化、中国人のナショナリズムも高揚した。しかしマスコミは、この事件を政治的駆け引きとしてのみ報道し、少数民族と漢民族の対立を煽っている。この対立で笑う者は誰か、現場での矛盾や本質とは何か、「中国の真の友人」たらんとすれば何を言うべきか。長く中国の少数民族問題を研究し、四川大地震後にも訪中した著者による、現状を憂えての緊急出版。
目次
第1部 チベット問題を正しく理解するために(問題の本質は「現場」にある;本当に問題になっていることは何か;両民族への提案、中国政府とダライ・ラマへの提案;日本における報道の問題について)
第2部 中国少数民族問題への経済学的接近(「同化」過程にある少数民族;イスラム教とチベット仏教の壁;経済問題としての少数民族問題;マルクス主義と民族問題―民族性とは何か ほか)
著者等紹介
大西広[オオニシヒロシ]
京都大学大学院経済学研究科教授、同大上海センター副センター長。日中友好経済懇話会顧問、日中友好協会常任理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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無識者
13
筆者の考えでは、中国の急速な近代化に対して、チベットはその近代化に取り残されてしまったことを問題の本質に設定している。少し強引な気がしないでもないがチベット仏教の生活様式は、かなり封建的であり、それが現在の市場経済にあっていないとのことである。チベットにたたい対してはそういう側面の改革、かつての農奴制へのメスをいれることが必要であり、中国政府に対しては近代化の過程で透明性、記者の取材を自由にすることや、暴動に対してもそれなりの背景があることなので恩赦をすべきであるということである。2020/09/20
os
0
友達の卒論みたい2016/03/03
でるた
0
はっきり言ってここまで酷い本があるとは思わなかった。最初からチベット人を暴徒として決めつけたり、生活とチベット仏教が不可分なのを理解せずに非科学的であると言ったり、とにかく中国政府側に偏った内容である。この本でチベット問題について学ぶことはできない。2012/06/11
bokassa_1er
0
外文出版社「農奴の怒り」の紹介をしてくれたことには感謝するが、「ネットで調べて欲しい」云々ではなく、ちゃんと「外文出版社」と書くべきであった。その点だけで評価を下げざるを得ない。2011/02/23
samandabadra
0
チベットは独立国でないことが前提で話が進められていて、最初は何かおかしく感じるだけだが、最後は認識の枠がまったく違うことがわかる。2010/05/18