感情化する社会

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感情化する社会

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  • サイズ B6判/ページ数 293p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784778315368
  • NDC分類 361
  • Cコード C0095

出版社内容情報

「天皇」も
「文豪」も
「お気持ち」化する

天皇「お気持ち」、スクールカースト、多崎つくる、腐女子AIりんな、LINE文学…。
私たちはあらゆるものを「感情」として表出し、「感情」として消費して生きている。余りに感情的すぎる日本の現在を不愉快に「批評」する試み。
「感情化」とはあらゆる人々の自己表出が「感情」という形で外化することを互いに欲求しあう関係のことを意味する。理性や合理でなく、感情の交換が社会を動かす唯一のエンジンとなり、何よりも人は「感情」以外のコミュニケーションを忌避する。(略)その結果、私たちは「感情」に対して理性的でありえることばを政治からジャーナリズム、文学にいたるまでことごとく葬っている。私たちは私たちに心地良い感情を提供することばしか、政治にもジャーナリズムにも文学にも求めず、その要求にそれらはいとも簡単に屈した。だからぼくは本書で敢えて不快なことばを連ねる。(「第一章 感情天皇制論」より)

目次
第一部 感情化する社会
第一章 感情天皇制論
「お気持ち」によって直結する天皇と国民
 感情天皇制の起源としての玉音放送
 象徴天皇制の本質は感情労働である
「猿としての日本」の再帰
 公共性に向かわない「感情」
「感情」の外に立つ「批評」
第二章 物語労働論 web上の「新しい労働問題」をめぐって
 ポストフォーディズム下の労働問題
 プラットフォームとフリーレイバー
 強制される感情の発露
第二部 感情化する文学
第三章 スクールカースト文学論
 水平革命の揺り戻しとしての「スクールカースト」
『セヴンティーン』はスクールカースト文学である
 ライトノベルはプラットフォームを懐疑できない
「敗者の文学」の死
第四章 LINEは文学を変えたか
 LINEが可視化する「文学」
 中上健次が生きた小説の終わり
 作者というアイコン
「私語り」するAI
「りんな」は太宰治である
第五章 文学の口承化と見えない言文一致運動
 口承文芸化するweb文学
 Google人工知能の詩
 柳田國男のオーディエンス論
 webは言文一致を社会化できるか
第六章 機能性文学論
 エコシステムのなかの「文学」
 作家は行動しない
「火花」はこの国の外側では発光している
第七章 教養小説と成長の不在
 教養小説を忌避した日本
 多崎つくるとヴィルヘルム・マイスターの遍歴
 国民的精神のビルドゥング
  歴史修正主義者と自己啓発書
第八章 AI文学論
「物語るAI」の可能性
「小説ってこんな感じ?」
 AIがもたらす「編集者の死」
あとがき 歴史のシンギュラリティーに向けて

大塚 英志[オオツカ エイジ]


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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

87
2016年にでた評論。スクールカースト文学論というのに惹かれて手に取る。久しぶりに書いた評論のようで、最近のネット状況などを踏まえているが、シニックな印象がある。まあ本人はポストモダニストであると自認しているようだが。ラノベのなろう小説のように、文学自体がヒエラルキーに完全に取り込まれていて、もはや「敗者の文学」が死んでいるとの指摘は興味深い。元々専門の柳田口承文学研究などから、ネットやAIを含む文学や小説についての考察などなかなか読みがいがあった。ところどころに刺激的な文が散らばっている。2018/08/29

どんぐり

61
感情化する社会と文学を論じた文芸批評。「感情化する社会」は、感情が価値判断の最上位に来て、感情による共感が社会システムとして機能する事態にあることを指し、理性や合理でなく感情の交換が社会を動かすエンジンとなっていることをいう。Webに繋がった「感情の発露」は、トランプ大統領のツィッター、安部首相夫人のSNS「いいね」、新聞を読まない麻生大臣の謝罪などを見てもわかるように、感情的な政治、感情的なメディア、感情的な知性などを生み、際限なくこの社会に蔓延している。これが導入部で、大半は文学論。なんだかもったいな2018/03/30

きいち

46
8月の天皇の言葉が「お気持ち」であったこと、それに9割の国民が「共感」したこと。感情化した社会と文学に、大塚は次々と闘争を宣言する。<まず「感情」の外に立つ。そのような「機能」を私たちはかつて批評と呼んだ>。◇でも、僕の「お気持ち」への評価は異なる。置いてきぼりにされて狼狽する櫻井よしこや百地章ら日本会議の姿を見れば、実は今回の「お気持ち」こそが、感情化する社会への<批評>の稀有の成功例だったじゃないかと思うからだ。感情の動員に対して理性で対抗するよりも、「別の感情」による上書きのほうが有効じゃないかと。2017/01/31

ころこ

33
タイトルに「社会」と入っており、本文では本書は文学論だといっています。今と昔の比較文学のような社会学的なアプローチになっていて、今更ながら、著者には文学=社会学というのが暗黙の前提としてあるのだと気付きます。流行りの意匠を酒の肴にして、実は昔は凄いということを強調したいことが見え見えで、年取ったなという印象です。「社会のあらゆるものに文学を見出すという文学の形式」に安住していると批判するのか、その視点の安定した議論が実り深いと読むのか両義的ですが、決して後者が廃れたわけでなく、得るところ依然として多です。2020/02/12

阿部義彦

23
大塚英志の」文学論です。Twitterが結局140字に落ち着いた事で現代人は長く書く必要性等感じて無いのだと喝破します。ネットでは感情発露が目的で長文の自己表出など元少年Aか小保方靖子以外は求めない。泣ける感動する薄っぺらい共感を求める小説をサプリメントに習い機能性小説と名付けます。そこからスクールカースト小説(朝井リョウ)に及びLINEは文学を変えたか?AI文学論を経て最後には教養小説論で村上春樹(田崎つくる)に挑みます!「もっとあからさまにいう。田崎つくるは、つまりは百田尚樹のたぐいなのである。」2016/10/10

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