出版社内容情報
「征服」以後、西欧近代の文化的同質性の圧力にさらされながらも、ラテンアメリカの民衆的伝統はいかにして自らの「記憶」を保存し、伝達し、変形してきたか。著者はこの観点から、民衆文化がもつ解放とユートピアへの潜勢力を、理想的な地点に凍結することなく、社会集団間の意味や慣習の対立において実際に発生しているものを考察する。
論及は、民俗音楽、呪術信仰、口承の物語、文学、演劇、博物館、サッカー、サルサ、サンバ、カーニバル、テレノベラ……に及び、民衆の文化的ヘゲモニー闘争を克明に跡づけて、さながらラテンアメリカ民衆文化に関する「百科全書」の趣きをもつ。経済と情報のグローバリゼーションのさなかの民衆を受動的な存在に固定化せずに、「順応と抵抗」の相克を生きる存在として捉えて、刮目に価する達成を示す。
序論
第一章=断絶と連続
植民地、呪術、服従の限界
独立ーー公式見解と民衆見解
法、秩序、国家
民衆文化と国家
第二章=民衆文化の顔
Ⅰ 地方の文脈
アンデスの反乱
博物館への旅
民衆カトリシズム
踊る牛ーー農民生活と民衆演劇
口承詩と物語の技法
Ⅱ 都市の文脈
都市への移動
テレノベラーーメロドラマから喜劇へ
オルタナティヴ・メディア
奴隷制からサンバへ
カーニバルと黒人アイデンティティ
サッカーとそのスタイルの政治的意味作用
第三章=民衆文化と政治
民衆という神話
ギリシア・トーガを着たメキシコの女生徒
アイデンティティと国民アイデンティティ
「大衆は考えない、彼らは感じるのだ」
発展のオルタナティヴ・モデル
インディオの政治
パッチワーク、マチスモ、新しい社会運動
第四章=民衆文化と高級文化
文学と国民
文
内容説明
「征服」以後、西欧近代の文化的同質性の圧力にさらされながらも、ラテンアメリカの民衆的伝統はいかにして自らの「記憶」を保存し、伝達し、変形してきたか。著者はこの観点から、民衆文化がもつ解放とユートピアへの潜勢力を、理想的な地点に凍結することなく、社会集団間の意味や慣習の対立において実際に発生しているものを考察する。論及は、民俗音楽、呪術信仰、口承の物語、文学、演劇、博物館、サッカー、サルサ、サンバ、カーニバル、テレノベラ…に及び、民衆の文化的ヘゲモニー闘争を克問に跡づけて、さながらラテンアメリカ民衆文化に関する「百科全書」の趣をもつ。
目次
序論
第1章 断絶と連続―(植民地、呪術、服従の限界;独立―公式見解と民衆見解 ほか)
第2章 民衆文化の顔―(地方の文脈;都市の文脈 ほか)
第3章 民衆文化と政治―(民衆という神話;ギリシア・トーガを着たメキシコの女生徒 ほか)
第4章 民衆文化と高級文化―(文学と国民;文化の境界線 ほか)
結論 記憶、破壊、変形