出版社内容情報
水平運動の形成過程をひろく東アジア史の中に位置づけようとする本書は、民族差別を内包した部落「解放」運動の内実を批判し、戦争協力の実態を明らかにする。
内容説明
被差別部落民の生活と権利を守りぬくために必然的に生まれた水平運動が、1930~40年代は深まりゆく日本のアジア侵略に加担し、戦後は“戦争責任”が問われぬまま反差別の担い手になる過程を厳しく検証する。
目次
序章 侵略の時代をおわらせるために
第1編 東アジア史における水平運動(東アジア史における全国水平社大会;「元号」、水平暦、西暦、「皇紀」;民族差別と部落差別について;「国民融和」と「大東亜民族協和」;アイヌモシリ植民地化と部落「解放」運動)
第2編 民族差別を内包した部落「解放」運動批判(「反部落差別・アジア侵略」批判;だれが、かつての「大日本国一等軍医監」を「解放の父」としたのか;だれが、なぜ、いつわりの再出発を許しつづけたのか)
第3編 水平運動史研究批判―批判にいつこたえるのか(「侵略戦争そのものをあるがままに受容する」とはどういうことなのか;「告発の限界性を止揚する」という日本人があらわれた;民族差別者・戦争協力者をいつまで「解放の父」としておくのか)
結章 ことば・存在・関係
補章 われわれが知らなければならない日本近現代史