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出版社内容情報
反体制派の人間がいつか忽然と姿を消し、関わりを恐れる周囲の人々も口を閉ざす70年代のアルゼンチン。
その時代、男女の愛の行方は?恐怖と背中合わせの愛の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mim42
3
アルゼンチンの作家の短編集。作者と混淆する〈わたし〉や夢の中での死者との交わり、記憶喪失等今ではありふれたモチーフが多く登場する。文体や構成は荒いが、全作にわたり張り詰めた緊迫と不安が、一気読みへと誘う。ここでもマゾヒズムの傲慢さにうんざりさせられるが、イベントドリブン型隷属による馴化だとすると興味深い。作者は「フェミニズム」な人らしいが、さほどクセは強くなかったので問題無かった。 前世紀末南米という具体的な情勢不安が、薄めの墨汁で描かれて、〈彼〉の身体だけが水彩画であるかのような世界観。2021/08/25