出版社内容情報
リクール、レヴィナス、マルクーゼ、ブルトン、デリダ――現象学から出発し、それと決別し、新たな思想領域に挑む刺激的な現代思想家との対論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bevel
4
レヴィナスとデリダの違いが際立って面白いなと思った。言語が自身のうちに外を持つという着想や、主体の再定義などは共通してる。他方で、ギリシャとヘブライの対立軸で、ハイデガー批判(《存在》の現前としてのAnwesenは、無限な他者に比して現前の形而上学を逃れていない)をしつつ、他者のための「技術的-政治的諸体系」の必要性を論じて、マルクスを評価するレヴィナス。哲学の内部と言語の内部で起こる出来事として外部を見いだし、歴史や政治にも外部との混淆を見いだし、率直な政治的な表明のタイミングを待ち続けるデリダ。2021/10/25
うえ
3
リクールの部分が秀逸。「真正のユートピアの他に、危険なほどに分裂症的なユートピアもまたさらに存在しうる…これは現実化するだけの条件を決して産み出すこともなしに静態的な未来を投企する…こうしたことは「国家を衰退化させること」を目的として企図しながらも、このような目標を達成するための真の方策を決して講じない場合の、マルクス・レーニン主義的ユートピア概念について起こりうる」「アメリカにおいて政治のイデオロギー化が弱いのは…実験室のような役割を果たすことができ…多種多様な言述が試験され吟味されているから」2016/06/05