出版社内容情報
ルイ・ズィンク[ルイ・ズィンク]
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黒澤直俊[クロサワナオトシ]
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内容説明
ジョゼ・ルイス・ペイショット、ドゥルセ・マリア・カルドーゾ、リカルド・アドルフォ、ジョルジュ・デ・セナなど重鎮から新鋭まで、ポルトガル現代文学の魅力を存分に示す12人の作家たちによる珠玉の掌篇集。
著者等紹介
ズィンク,ルイ[ズィンク,ルイ] [Zink,Rui]
1961年、リスボンに生まれる。小説家、エッセイスト、翻訳家、劇作家、脚本家、イベントプロデューサー、テレビ・ラジオのコメンテーター。リスボン新大学准教授。漫画やアニメーションを文学作品と位置づけその文学性を考察する研究のポルトガルにおける先駆者であり、ポルトガル初のグラフィック・ノベルA Arte Supremaの原作者でもある
黒澤直俊[クロサワナオトシ]
1956年、宮城県生まれ。東京外国語大学卒。ポルトガル語、アストゥリアス語の言語文学を専攻。東京外国語大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
126
ポルトガル文学紹介に選出・翻訳された短編12。好きな順に。エルベルト・エルデル「定理」残酷王ペドロと愛人イネスと暗殺者。悲しい残酷さに酔いしれる。テレーザ•ヴェイガ「植民地の後に残ったもの」小人症のピクルス。最後のシーンがとても印象深い。極上の短編。ジョルジュ•デ•セナ「バビロン川のほとりで」信心とセックスと愛と書くこと。心の奥に触れてきた。 カルパーリョ「少尉の災難」地雷…、大尉のヤツめ。ヴァルテル・ウーゴ・マイン「ヨーロッパの幸せ」それでも、黒人の夫婦が、マイセンをベルグ家から買えてよかったと思う。2020/02/16
藤月はな(灯れ松明の火)
83
ポルトガル文学という馴染みのないタイトルと表紙のタイルに惹かれ、読みました。「少尉の災難」は既視感のある物語だなと思っていたらアーミー・ハマー氏主演の『ALONE(原題:mine)』そのままだ!!「ヨーロッパの幸せ」は嘗ての「裕福で施しを与える者」というヨーロッパ人というイメージが交代してしまった事を痛烈の皮肉を持って描いていると思う。同時にヨーロッパへ来た黒人達がマイセンの花瓶を大事に抱える理由からは新しいヨーロッパの担い手達の逞しさを表している。「ヴァルダー氏の森」は理想の家を得た男が迎える不条理劇。2020/02/24
あさうみ
51
「ポルトガル」の土地や歴史背景にまつわる話から、社会風刺までたくさんの味が楽しめる。一編、一編、選び抜かれたのだろうと意欲が伝わる一冊で、読み進める度に驚きと新鮮さを味わえた。どの短編も抜群の精度だったが、「美容師」はすごかったなあ…。この展開へいくのか!と。この作家さんの長編も読んでみたい…!2019/12/28
ヘラジカ
49
自信に満ちた序文に違わぬ、素晴らしいアンソロジーだった。収録作品どれも質が非常に高い。ポルトガルの小説ということは全く抜きにしても読む価値ありの短編集である。記憶に残る作品は多いが、強いてお気に入りを挙げるなら…『ヨーロッパの幸せ』『ヴァルザー氏と森』『汝の隣人』『川辺の寡婦』辺りだろうか。海外小説ファンには『ガルヴェイアスの犬』でお馴染みのペイショットはやはり文章に迫力があると思った。それとタヴァレスは他作品が是非とも読みたい。シリーズ全訳してくれないだろうか。2019/11/17
燃えつきた棒
41
ポルトガル現代文学の12人の作家たちによる掌編集。 ゴンサロ・M・タヴァレス「ヴァルザー氏と森」:何年もかけてようやく完成した森の中のヴァルザーの家に、予期せぬ訪問者が次々と訪れる。カフカの作品を思わせる不条理さと滑稽味に惹かれる。/2020/12/16