内容説明
ソウルの下町、路地に面した小さな綴り方教室で、届かない手紙を、読み手のいない小説を、ありふれた「自分の話」を書く女性たち。ゆらぎ、さまよい、傷つけあう母と娘、そして書くことが好きなすべての私たちの物語。
著者等紹介
姜英淑[カンヨンスク]
1967年、韓国江原道春川に生まれる。ソウル芸術大学文芸創作科卒。1998年『八月の食事』がソウル新聞新春文芸に当選して文壇デビュー。2006年、初の長編小説『リナ』で韓国日報文学賞を受賞(日本語訳は2011年に現代企画室より刊行)。2作目の長編小説となる『ライティングクラブ』は2011年に白信愛文学賞を受賞した。同年『文来にて』で金裕貞文学賞、2015年『ひとひらの雪がとける間に』で黄俊元文学賞を受賞
文茶影[ムンチャカゲ]
1958年大阪生まれ。1989年に渡韓、延世大学韓国語学堂で韓国語を学び、韓国観光公社観光教育院、国際交流基金などで日本語教育に携わる。東国大学文芸創作科を卒業後、韓国文学翻訳院にて翻訳を学ぶ。2010年に韓国文学翻訳新人賞を受賞。韓国映画『誤発弾』の字幕翻訳を手がけるなど、ソウルで日本語を教えながら翻訳家として活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じょじょ
7
気が狂うかと思った。主人公も周りも癖が強く 誰の立場に立ってもおかしくなりそう。ただ気持ちはよくわかった。2023/07/08
沙織
6
初読みの韓国の女性作家。 主人公の女性が自分の人生、母のことを振り返ります。本を読むこと、書くことを自らの力に変えて生きてきた女性。読書家さんには彼女に共感する方も多いのではないでしょうか? 主人公は勿論、友人、恋人のキャラクターも個性的すぎて面白い。名前ではなくイニシャル表現がより想像力をかりたてる。2018/10/22
Koki Miyachi
6
母親の自称作家のキム作家が始めたライティングクラブ。それがきっかけで書くことに自覚的になった娘が主人公だ。決して恵まれていないながら、たくましくどうにか元気に生きる主人公への共感が湧き上がる。シニカルでユーモアのセンスたっぷりの語り口が印象的。そこはかとなく繊細な女性の心情がにじむ良い作品であった。2017/12/07
100名山
4
あの衝撃的な「リナ」を書いた著者の小説であり、同じく現代企画室が出版する書籍なので迷わず購入して読みました。韓国で小説家や詩人を気取る人々が集まる「ライティングクラブ」の主催者、キム作家と呼ばれるシングルマザーとその娘が織りなす書くことを生きる証とする物語のようです。連載物を終了後結末を大幅に変更して出版されました。テレワークで通勤時間=読書時間が無くなったせいもありますが、読むのに非常に時間がかかりました。2020/06/11
いっこ
4
とにかく、「書くこと」への執着が凄い。韓国ドラマみたいな描写が続いて辟易していると、少しずつ成長していく主人公がいて、暖かな気持ちで読み終えることができた。著者の写真、経歴を見ると、主人公とは対極にいると思わせられるような人だった。2017/12/06