内容説明
友人同士のバーベキュー・パーティーで、傍若無人にふるまう他人の子どもについ手が出てしまう。そんな些細な「事件」をきっかけに、関係者それぞれのふだんは奥底に秘めている他者への偏見や怒り、愛と欲望、失われた過去への郷愁や未来への不安が噴出する。まるで世界の縮図のような多文化社会・オーストラリアで、出自、世代、性別、信条、生活レベルを異にする多彩な8名の登場人物の視点から語られる、「日常」を内側から揺すぶる複雑な陰影に富んだ感情のドラマ。
著者等紹介
チョルカス,クリストス[チョルカス,クリストス] [Tsiolkas,Christos]
1965年、オーストラリア、ヴィクトリア州メルボルンにギリシャ系2世として生まれる。第1長編『ローディド』(The Loaded,1995)は、10代の同性愛者のドラッグや性的体験を赤裸々に描いて、オーストラリアのグランジ文学の代表作とされる
湊圭史[ミナトケイジ]
1973年生まれ。オーストラリア文学・アメリカ文学研究。同志社女子大学表象文化学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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めるみな
2
【文学世界一周 オーストラリア編3 】とても狭い人間関係を取り上げているのに、人種(移民)、宗教、性、年齢(老いと若さ)、家庭環境、しつけなど、現代のオーストラリアを生きる人が抱える諸問題が圧縮されていた。登場人物の心の内が老若男女問わずほぼ同じ厚みで綴られ、周りの人には知られたくないようなえげつない偏見と本音が並ぶ。その心理描写の量にも質にも驚かされ、つい最後までページをめくってしまった。章ごとに視点人物が変わる構成も面白く、物語での複数の出来事が一気に顔を突き合わせる最終章には強いエンタメ性を感じた。2017/10/11
やす
1
登場人物が皆ばらばらのバックボーンを持ち、それぞれ心に闇を抱えている。そんな人々の日常生活を丁寧に描いた一冊。教育的にはいい本かもしれないが、正直長いだけでどこが面白いのかさっぱりだった。2021/09/28
だけど松本
1
虐待か?と思われる出来事を目撃した人々がどう捉えたかっていうのをそれぞれの視点で読んでいくのは面白かったんだけど、こんな終わり?って感じだった。2015/07/29