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内容説明
基準を何倍も超えても「危険でない」なら、基準ってなんのためにあるの?いろいろな情報がありすぎて、何を信じたらいいのかわからない!こんな不安を感じるのは、あなたのせいではない。問題は、言葉を空虚にする報道のあり方そのものにある。大切なのは、情報をよく聞きわけ、基本的な事実や言葉の意味に立ちかえり、自分自身で判断すること。放射能汚染の危険に、私たち市民はいかに向きあうのか。そのヒントを、気鋭の情報論研究者が、実際の報道の詳細な分析を通じて解きあかす。
目次
1 はじめに
2 「科学」「安全」「安心」―問題を整理する
3 「基準」「被曝」「単位」―基本的な知識を整理する
4 基準と数値―報道を読み解く(1)
5 安心と安全の語り―報道を読み解く(2)
6 「安全」報道の波及効果
7 「安全」の視点から考える
8 おわりに
著者等紹介
影浦峡[カゲウラキョウ]
1964年生。1988年東京大学大学院教育学研究科博士課程中途退学。1993年マンチェスター大学学術博士。学術情報センター助手、同助教授、国立情報学研究所助教授を経て、現在、東京大学大学院教育学研究科教授。専門は情報媒体論、言語論、言語情報処理。国際計量言語学会副会長、計量国語学会理事などを歴任。現在、Terminology誌編集長、Law,Language and Discourse誌顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なおこっか
3
情報の受け手がいかにリテラシーを持つのが大事か。福島第一原発事故直後、政府、メディアと企業、科学者が、安全を連呼した一連の報道を、数値基準と言葉表現の両面からどう読み解くかが丁寧に解説されている。受け手が言語化できなかった不信や不安の根本が明確に。この著者の言葉は生きた言葉。広く読まれるべき本。たとえ放射能は他人事と思えても、例えば医療において患者として選択せざるをえない事態になる可能性は殆どの人にある。医者が示すのは可能性と情報、選ぶのは患者。胃ろうするか否か、癌を切るか否か、判断の際リテラシーが必要。2019/03/15
彼方
0
科学の知見・数値/拘束力を持つ社会の合意(法律)・基準/安全・危険という個人の判断/安心・不安という個人の心理、に事実を加えた5区分で放射線関連の情報を整理し、個人の減らせる混乱を減らすことに努めた本だと僕は読んだ。p81~あたりの、50%と想定されたガン発病率が100msVの被曝で50.5%になることより喫煙が危険だという東大准教授の発言等に見える「社会的な基準の素通り」発生傾向の指摘など非常に参考になった。ただLNTモデルの100mSv以下での適用を完全に前提にしている事には本当に留意しておきたい。2012/11/02
omochi
0
授業の課題図書だったので読んだがあまり深い感銘を受けたわけではなかった。原発事故により生じた放射能汚染を安全だと主張する人達への反論がこの本の主なテーマだった。ちなみに著者の専門は翻訳論。
moco*
0
3・11以来、原発や放射能にかんする報道に対して持っていた強い違和感。それらを的確に言葉にしてくれた著者に心から感謝。あの日以来、明らかにおかしな発言が飛び交いまくっている中、何を聞いても正直安心なんてちっともできなくて。「ただちに影響はない」とかよく言えたもんだなと。若い世代ほどより苦しむんだぞ…と何度思ったことか。「冷静に」(この場合は「普段通りに」)行動しないと周りからおかしいと言われる状況で苦しんでいる人が、私以外にも大勢いるのではないだろうか。今からでも、たくさんの人たちに読んでほしい本。2012/04/15
佐々 和宏
0
p.182-183は必読である