内容説明
詩が何の役に立つのか?詩人は本当に無用なのか?いくつもの問いを胸にそれでも詩人は書き続ける―なぜなら、言葉は祖国だから。詩は宇宙へと漕ぎ出すための舵だから。詩は地平線を広げる営みであり、黒く塗られた鏡の祖国だから。
目次
詩人?なぜ詩人か?
価値ある痛み(モリバト;旅;国;よだれ;煙;手立て;場末;跳躍;匂い;水 ほか)
著者等紹介
ヘルマン,フアン[ヘルマン,フアン][Gelman,Juan]
1930年ウクライナ系ユダヤ移民の息子としてブエノス・アイレスに生まれる。1948年から大学で化学を専攻するものの、ジャーナリズムや政治・文学活動のために退学。1955年共産党の詩人たちと『固いパン』を結成し、以降本格的に詩作に取り組む。1967年に共産党を離党するが、左翼系の作家たちとともに創作・出版活動を続ける。1975年アルゼンチンを出国した直後にクーデターが発生、翌年の軍事政権成立とともに息子マルセロ・アリエルと妊娠中だったその妻クラウディアが行方不明になる。悲痛な思いを詩に綴りながら息子夫婦の消息を追い続けた結果、1990年ドラム缶にコンクリート詰めにされた息子の遺体を確認、さらに、2000年には獄中でクラウディアが生み落とした孫娘と劇的な対面を果たす。現在ラテンアメリカを代表する詩人として、現在まで『ゴタン』(1969)など20以上の詩集を残している。2007年セルバンテス賞受賞
寺尾隆吉[テラオリュウキチ]
1971年名古屋生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。メキシコのコレヒオ・デ・メヒコ大学院大学、コロンビアのカロ・イ・クエルボ研究所とアンデス大学、ベネズエラのロス・アンデス大学メリダ校など6年間にわたって、ラテンアメリカ各地で文学研究に従事。政治過程と文学創作の関係が中心テーマ。現在、フェリス女学院大学国際交流学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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