内容説明
一九九四年一月一日、メヒコ(メキシコ)南東部に起きた先住民族叛乱は、メヒコばかりか世界的に大きな衝撃を及ぼした。冷戦終結後に、武器を取って反政府・反グローバリズムの訴えをしたから、だけではない。行動の方針、言語の選び方、組織のあり方、夢の追い求め方―それらすべてにおいて、旧来の社会運動とは一新されたスタイルが人びとを惹きつけたのだ。なぜ都市型マルクス主義と、辺境最深部に住む先住民族の世界観とは、稀有にして幸福な出会いを実現したのか。覆面をした謎の副司令官マルコスが、フランスの社会学者を前に、組織形成の過程をはじめ、サパティスタの思想と行動の原理・原則を全面展開する。産業先進国の社会運動が抱える病を知り尽くした聞き手との間で、軽妙にして、奥の深い現代世界論が展開される。
目次
第1部 たくさんの世界から成る世界を求めて―マルコス副司令官、モイセス少佐、タチョ司令官(サパティスタ民族解放軍)とのインタビュー(EZLN前史(最初のマルクス・レーニン主義細胞)
チェ・ゲバラとの最後の決別
先住民共同体との出会い―文化的衝突
マルコスと仲間たち
蜂起 ほか)
第2部 ふたたび世界を魅了する(マルコスとその鏡;前進するサパティスタ;先住民、現代的普遍性のイメージ;最果ての地に始まった蜂起;マヤ世界の動揺 ほか)
著者等紹介
佐々木真一[ササキシンイチ]
1977年生まれ。ラテンアメリカ先住民族の権利回復運動を研究
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。