熱・情・ソウルのキーワード

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  • サイズ B6判/ページ数 211p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784773626070
  • NDC分類 292.14
  • Cコード C0026

出版社内容情報

ゴージャスとも言える豊かさを手に入れた21世紀の韓国。ソウルの街角や路地を取材に恋にと、めぐり歩いてきた著者が見つけた「とっておき」の魅力。韓国人が大好きなソウルはカラフルで、オーガニックで、少しだけトラディショナル。ソウルっ子が見てほしいと願う風景を大切にしつつ、「情熱」と「エネルギー」にあふれる現在進行形のソウルを99のキーワードで紹介する。とくに若い女性旅行者に贈る「私」のソウル案内。

▼アンニョンハセヨ! ソウル
首都ソウル(カラフル&トラディショナル!)/仁川新空港(最新鋭の設備の内は)/ソウル地下鉄(地下から眺めてみる世相)/自動改札機(ソウル地下鉄に乗る)/模範タクシー(わが道をゆく)/63ビルの大パノラマ(鳥の位置からソウルを見れば)/警察官(〝警察ざた〟の旅)/超特急セマウル号(〝新しい村〟号のひそかなデジャ・ビュ)/高速バス(みっしりバス路線網)/ハングル・ネオン(ネオンサインはハングル模様)/国花むくげ(カラフル・コリアを花のかたちに)

▼ぐるりソウル
ストリートエナジー弘大前(チープ&ポップなメイド・イン・コリア)/ファッション東大門(ショッピングセンターの購買力)/ブランド狎鴎亭(物質的繁栄ののちに)/アンティーク仁寺洞(純粋アートの力)/コスメ梨花大(オーガニックなセルフ・エステ)/日本化タウン明洞(コンパクトにサンプル化)/サイバーコリア江南(ネット化によるボーダーレス)/地下都市コエックス(伝統地下街×雑居市場ビル=?)

▼味わいソウル
チェリー・フレーバー(気ままで、熱しやすくて)/部隊チゲ(いわくつきの韓国風ちゃんこ鍋)/チジミ(韓国風お好み焼きバリエーション)/巨大茶房の奥から)/銀の器(毒感知システムがわり!?)/合格飴(その粘りは縁起かつぎ)/便利店(コンビニLG25はファストフード)/爆弾酒(真露焼酎チャムイスル)

▼お楽しみソウル
アクション映画(JSA――共同警備区域)/板門店バスツアー(東アジア一危険な見張り台)/W杯公式ショップ(いいからいっしょに踊ってみなよ)/W杯競技場(いつのまにか日韓ひとむすび)/恋愛映画(プラトニックなひとびと)/日本映画(日本大衆文化開放・後日談)/漢江リバーサイドレストラン(ソウルの命の水)/コリアン・ヒップホップ(飽食の時代の反抗は〝そこそこ〟)/マシュマロ猟奇兎(韓国全土を席捲中)/Kポップ(バラードは雨のなかで)/ワンポイント・カジュアル(ハートフルな人びと)/カフェバーの恋人たち(大学路の休日)/情熱空間ラッカペ(パッション!(情熱の人びと)/ワンス・イン・ア・ブルームーン(無国籍でメロウなジャズの夜)/パーカッション「乱打」(韓国サムルノリのトランス)/PC房(一足飛びの高速ネット普及)/疾走IT(人口の半分がADSL利用!)/大型書店(理性先行から感性重視へ)

▼ディープにソウル
「気」あふれる岩山(ヒーリング・スポット)/王ッチ
天気雪(冬の風景)/少(年(とんがった一面)/新世代(それでもやはり儒教の国)/ゲイ(新しい愛の形『バンジージャンプ』)/ママボーイ(少年たちへの強迫観念)/タフガイ(そんなに角張らなくても)/少女(純情と純潔――貞操観念すれちがい)/女子大生(大学前から生まれる街なみ)/淑女(抑圧された艶)

あとがき

首都ソウル/Sudo Seoul/カラフル&トラディショナル!

 ソウルという都市は、刻一刻とたえまなく生成を続けている。つねに新たな街が登場するので、取材に忙しい。というのも、東京ではもはや、小売商店が成りたたないほど流通が整理された感があるが、この国ではまだ、こまごまとした食堂や雑貨店が健在。よくもまあ成りたつなと驚くほどだ。近代化するにしても、百貨店に淘汰されるのではなく、小売状態のまま、市場ビルに詰めこまれる。そんな彼らがはばをきかせるからこそ、街も都市もまた、ビル状縦積みだけでなく、メンタリティとしてはまず、横へ横へと拡大を続けるのかもしれない。
 その魅力は、やはり「雑多なエネルギー」だろうか?? 韓国と言えば必ず出てくる南大門市場(ナンデムンシジャン)だが、もはや中心のエネルギーはこの地を去り、むしろ消費文化の象徴は東大門(トンデムン)。さらに飲食街の新村(シンチョン)ばかりでなく、最近では誠信女大前(ソンシンヨデアプ)など。ソウル・オリンピックで、インフラを完成させたこの都市、あとはその枠組みに何を盛るかの段階なのだろう。「カジュアルながら現代センスの光る」弘大前(ホンデアプ)や大学路(テハンノ)ピーの旅にすぎない。せっかく、あの太極うちわや純粋アート作品のように、色鮮やかな風物や、伝統茶や韓方美容など自然派志向の生活があふれているのに!
 カラフルで、オーガニックで、少しだけトラディショナル――それがソウルの魅力。
 とりわけその伝統「悠久の歴史」は、王宮や世界遺産の廟をあげるまでもない。アジア横並びに比較しても、韓国は民族愛が強いだけに、「世界化と愛国のせめぎあい」のなかから、新たな文化を次々と生み出すメード・イン・コリアの魅力。生活韓服や工芸アートショップに映画《春香伝》と、どこか「美しくて小粋」なものにあふれるソウル。いっぽうでは、現代陶磁器や木工インテリアなど、大きくざっくりとした手ざわりもある。それを送り出す「情熱」「勢い」「エネルギー」は、ロックカフェやアクション映画にほとばしり出ている
 こうしてチャンネルをひとつ変えれば、まるで童話『青い鳥』(メーテルリンク)の帽子のダイヤルをまわしたように、目の前のスクリーンには、新しい風景が広がることだろう。

暮らして遊んで恋もした女性の眼と感性で見つけた「とっておき」のソウルの魅力。韓国への旅行者、とくに若い女性旅行者に贈る「私」のソウル案内。

目次

アンニョンハセヨ!ソウル
ぐるりソウル
味わいソウル
お楽しみソウル
ディープにソウル
ソウル人間ウオッチ

著者等紹介

亜洲奈みづほ[アスナミズホ]
1973年、東京生まれ。東京大学経済学部卒、在学中から日韓交流に参加。1995年、『朝日新聞』『東亜日報』共催戦後50周年記念日韓交流懸賞論文で最優秀章を受賞。以後「アジア系」作家として日韓両国で作家活動を展開するかたわら、アジア各地への取材・撮影旅行を重ねる
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