内容説明
コミットメントからデタッチメントへアメリカの医療、日本の医療はどこへゆくのか？『悪魔の味方』執筆から１０年。Ｄｒ．岩田が「アメリカ医療」について徹底的に各論的に、総合的に再び考える。
目次
定義をしなくちゃいけないの？
考える前提―総合的に考えることを、考える
医師数の問題
危機にあるアメリカのプライマリケア
アメリカの女性医師
診療時間と医療の質
ヒステリック・アメリカ
アメリカの救急医療
アメリカ感染症界の没落
お金とアメリカ〔ほか〕
著者等紹介
岩田健太郎［イワタケンタロウ］
１９７１年島根県生まれ。島根医科大学卒業。沖縄県立中部病院研修医、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院内科医研修医を経てアルバートアインシュタイン大学ベスイスラエル・メディカルセンター感染症フェローとなる。２００３年より北京インターナショナルＳＯＳクリニックに勤務。２００４年に米国感染症専門医、ロンドン大学熱帯医学衛生学校感染症修士。２００４年、亀田総合病院総合診療部感染症内科部長代理、２００５年、同院総合診療科総合診療・感染症科部長。２００８年より神戸大学大学医学研究科微生物感染症学講座感染治療分野教授。ＰＨＰビジネスコーチ、米国内科学会フェロー（ＦＡＣＰ）、米国感染症学会フェロー（ＦＩＤＳＡ）（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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Hitoshi
1
私の時代は、なんでもかんでも、アメリカに感化されていたって感じで、初めて海外旅行で、シンガポールに行ったときは、コンバースもナイキもない！って、驚きました。大学出て、医局に入局して、教授を目指して、コネを使って、留学させてもって、残留を許されず、帰国。他にいい道があるなって想像さえしませんでした。アメリカにあこがれて留学したわけではない著者だからこその視点で、いろんな出来事を分析しています。ほかの本が、初めに結論ありきなのに比べるとすごくすんなり行きます。お陰で、アメリカの呪縛から解き放たれそうです。2015/09/23
coldsurgeon
1
真っ赤なニシンred herring（人を欺く）というタイトルは、意味深いものだ。アメリカ医療を、少し離れたところから概説しつつ、日本の医療の問題点を浮かび上がらせている。医療は包括的に守る公共財という認識に立ち、他者の視線に同調を強いられず、自らの価値観に基づいて生きていけるような社会を「成熟した社会」と考え、論を展開してく。ためらいを抱きつつ、誠実に、良心に恥じない医療をしていきたいと思いたくなる書であった。2012/07/31
ra7
0
岩田健太郎先生の「総合的に、徹底的に各論的な」アメリカの医療、そして日本の医療についての考察。この人ほど、わかりやすく中立的であろうと努力して論じる人を私は他には知らない。(もちろん私が知っている範囲で、だが。)医療とは言いつつ、医療関係者以外も読む価値があると思う。2014/06/01
MK
0
「正しさ」を担保するのが実は「恣意」に過ぎない、という場面は世の中往々にしてある（そういう場面の方が多い）。そのことに自覚でないと、自分の言葉に「落とし前をつける」ことはできないと思う。そして、逆説的だけれど、人並みの謙虚さ（対話の用意）を持つ人なら、その「譲れない思い」を人に届けようとしたらどうしたって「ためらう」。それでいい、というか、それがいい。Problem-based Learningという名の下に、いかにもアメリカ的なディベート訓練を医学部で強いられ辟易した日々を思い出しながら、読んだ。2012/10/09
ともか
0
「アメリカ医療」を再び考え直す目的で書かれたというが、日本とアメリカ双方で医療に従事した人の個人的な思いというか、「雑感」な印象を受けた。それはそれで筆者の考え方は読んでいて安心できるものなのだが、物足りなさを感じたのは、私がアメリカでの臨床の経験談を期待してたからなのだろう。今後TTPに関する章に記載されてた参考資料を読んでみようと思う。2012/07/21
