内容説明
ジェンダーやセクシュアリティの規範性やカテゴリーの境界線を問い直す概念としての「クィア」は、LGBTブームのはるか以前から、映画文化を通じて日本に流入し、その地平を広げてきた。作品や表象のなかで、不可視化され、無視され、隠蔽されてきたものは何か。それらを「クィアなもの」としていかに再発見できるか。本書はクィアとシネマをめぐる思考と実践のアーカイヴである。
目次
序章 クィアとシネマをめぐる思考と実践
第1章 クィア・シネマの歴史―『パンドラの箱』に見る可視性と共時間性
第2章 アメリカ合衆国のゲイ解放運動の表象に向けて―『真夜中のパーティ』から『ミルク』まで
第3章 溶け込まずに生き延びること―映画におけるバイセクシュアリティ表象を読む
第4章 崩壊へと横辷りする世界―谷崎潤一郎「細雪」を読み/観る
第5章 レズビアン青春映画としての『櫻の園』
第6章 ゲイ男性と結婚・恋愛・家族―『二十才の微熱』と『ハッシュ!』を男性同性愛の歴史に位置づける
第7章 SOMEDAYを夢見て―薔薇族映画「ぼくらの」三部作が描く男性同性愛者の世代
第8章 スクリーニング/アウト・ディスアビリティ―障害学とクィア・シネマ
第9章 『東京ゴッドファーザーズ』におけるトランス女性表象と「エイズ」の語―異性愛規範の外から中心への道程
第10章 クィア・アニメーションの可能性
第11章 ビートゴーズオン―エイズやクィアに関する映像の上映を続ける理由
著者等紹介
菅野優香[カンノユウカ]
同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教員。カリフォルニア大学アーヴァイン校Ph.D.(視覚研究)。専門は、映画・視覚文化研究、クィア・スタディーズ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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