内容説明
映画はもはや、映画館で「注視」することが主流の視聴モードではない。一回性は失われ、いつでも繰り返して観ることが可能になった。さらには「ながら見」や移動中など、「気散じ」的な視聴モードも一般化し、映画の時間・空間は、その構造の変化を余儀なくされている。いま、映画はどう論じうるだろうか。映画の誕生からその文法までを丁寧に紐解き、さまざまな映像表現を真摯に見つめ、フレームの奥深い内部だけでなく、フレームの外部や裏側まで思考を重ねる。映像表現の醍醐味に光をあてなおす、まったく新しい映像論。
目次
序説―映像表現論
第1章 映画とは何か
第2章 映画の視線
第3章 映画の編集
第4章 映画の音響
第5章 映画の境界
第6章 映画の形態
第7章 アニメーションの表現
第8章 アニメーションの現在
第9章 文学の映画化―遠藤周作『沈黙』のアダプテーション
第10章 アニメ・リメイク―『打ち上げ花火、横から見るか?下から見るか?』
結論―映像の快楽
著者等紹介
北村匡平[キタムラキョウヘイ]
1982年山口県生まれ。映画研究者/批評家。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了、同大学博士課程単位取得満期退学。日本学術振興会特別研究員(DC1)を経て、東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター/リベラルアーツ研究教育院准教授。専門は映像文化論、メディア論、表象文化論。『スター女優の文化社会学―戦後日本が欲望した聖女と魔女』(作品社、2017年)にて第9回表象文化論学会・奨励賞受賞、『美と破壊の女優 京マチ子』(筑摩書房、2019年)にて令和2年度手島精一記念研究賞・著述賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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