内容説明
物語がメディアを横断して、小説、映画、演劇、アニメ、ゲームへとその形態を変化させながら人びとに翻案(アダプテーション)され、新たな文化的環境へと「順化」していく現象の理論化を試みる。
著者等紹介
片渕悦久[カタフチノブヒサ]
大阪大学大学院文学研究科准教授。専門はユダヤ系アメリカ小説
鴨川啓信[カモガワヒロノブ]
山口大学経済学部准教授。専門は現代イギリス小説
武田雅史[タケダマサフミ]
大阪大学大学教育実践センター非常勤講師。専門は18世紀イギリス小説、物語論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
K.H.
7
アダプテーションは「翻案」と訳されるが、ここではいわゆる原作・原案などからの製作物も含まれる。小説から映画や舞台、映画からゲームやアトラクション、といった「物語」の間メディア的な移し換えや、同一メディア内でのリメイクが扱われる。著者はアダプテーションが原作よりも低く見られることに異議を唱え、それ自体れっきとした作品であり、再解釈であるとする。原作の改変に憤るよりもひと粒で二度美味しいことを喜ぶタイプのわたしは、著者に近い立場のようで、知らず知らずのうちにパリンプセスト的受容をしていたようだ。少し心強い。2022/06/01
あかふく
2
アダプテーション、翻訳すれば一応「翻案」がどのようなものであるかを論じる。様々な作品の小説→映画、映画→舞台、映画→ゲームなどの実例が参照され、そこで何が起きているのかということを、何が、誰が、なぜ、どこで、どのように、いつ、などというレベルで検討する。アダプテーションの理論化を目指す本だが、これを読むと、アダプテーション作品(日本であれば最近アニメ、ゲームの領域で著しく盛ん)を検討する際に注意することができるようになる。アダプテーションは特別なことではないのである、という指摘も重要。2012/12/03
tubokabi
0
アダプテーション理論は絶対勉強しないといけない分野だなっていうのと、アダプテーションを考察する際の原点をどこにおくのか、とか間テクスト性との差異化をどうはかるのか、とか曖昧な点も山積みだ、っていうのと。2014/08/15