内容説明
長期にわたる社会的入院で人生を根こぎにされた人、ままならない人生に悩み苦しむ人。精神病を病んでいるときも当たり前の日常生活を営むことの幸福を取り戻し、互いの経験をわかちあうために、当事者が贈る「精神障害」へのエール!
目次
第1章 障害者権利条約と精神障害がある人々
第2章 日本の精神障害者の現在
第3章 理念を大切にしたい―病棟転換型居住系施設構想に抗して
第4章 アドボカシー制度の創設を待望して―その人の存在がもつ社会的意味を認識する
第5章 仲間活動がもつ可能性―社会的入院者の地域移行・地域生活定着支援
第6章 地域移行・地域定着支援活動でかかわった仲間の体験―あたりまえに地域社会で暮らしたい
終章 尊厳あるいのちを支え合う―障害がもつ可能性
著者等紹介
加藤真規子[カトウマキコ]
1954年、埼玉県生まれ。ひきこもり・不登校・うつの体験者。特定非営利活動法人こらーるたいとう・代表、DPI日本会議常任委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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aoi
4
パラ見、「精神障害者の地域社会への移行」「ピアサポート活動」はPSWの教科書でよく出るので後で再読した方が良いかも。 精神障害者へのインタビュー、その後のサポートも沢山載ってる。 でも制度については…? 現行で働く方の思想の勉強にはなるかも。 どちらかと言うと感情に訴えかける本なのかな?2022/08/14
Koji Takahashi
4
【医療、福祉は手段であって目的ではない!】 「社会的入院」って障害者福祉の仕事をするまで考えたことなかった。 それは「精神疾患を持つ人たちを、本人の意思を無視して病院という名の『牢屋』に閉じ込め、人生を奪うこと」と感じた。 日本は精神病院のベッド数が桁違いに多く、圧倒的に長期入院をさせている『遅れた国』である、恥ずかしいくらいに世界の流れから外れている。 この本を手に取った問題意識を持った人は、より理解を深め感じることができるだろう。 この問題に気づいていない人に届いて欲しいと強く願う。2018/04/19
渡辺 にゃん太郎
0
社会的入院が解消されないことはずっと言われているが、日本は諸外国に比べて社会的入院への取り組みはかなり遅れている。面白いのは触れたくないことに蓋をする日本人的な発想で長い歴史を辿って施設収容主義を確立した結果、多額の費用を使って社会的入院を維持しなければならなくなってしまい、もう触れざるをえない状況になっていることだと思う。30年入院してきた人をいきなり地域に移行することは勇気のいることだが、今までが異常だったと考えれば、早く支援したいと思う。2023/05/04