出版社内容情報
ニール・コーン[コーン ニール]
著・文・その他
中澤 潤[ナカザワ ジュン]
翻訳
内容説明
私たちはマンガをどうやって理解するのか?スコット・マクラウドの名著『マンガ学』の影響を受けた、次世代の認知科学者兼コミック作家による新たな挑戦!
目次
ビジュアル言語入門
第1部 ビジュアル言語の構造(ビジュアル語彙(1)―ビジュアルな形態
ビジュアル語彙(2)―コマと構文
ビジュアル言語文法―物語構造
コマの配置構造による視線誘導
ビジュアル言語の認知)
第2部 世界のビジュアル言語(アメリカのビジュアル言語;日本のビジュアル言語;中央オーストラリアのビジュアル言語;等価原理)
著者等紹介
コーン,ニール[コーン,ニール] [Cohn,Neil]
米国の認知科学者。ビジュアルコミュニケーションとビジュアル言語に関する先駆的な研究で世界的に認められている。タフツ大学で認知心理学の博士号を取得し、70を超える学術論文、3冊の著書、そして2冊のグラフィックノベルを執筆している。現職は、オランダのティルブルフ大学認知・コミュニケーション学科講師
中澤潤[ナカザワジュン]
1977年広島大学大学院教育学研究科修士課程修了。現在、植草学園大学・植草学園短期大学学長、千葉大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よしのひ
4
認知科学の視点からマンガを読み解くー留学生から日本のマンガがきっかけで日本に興味を持ったという話をよく聞くが、マンガの持つ効用や役割を考えたことがないことに気づき一読。またマンガを認知科学から読み解いて、授業に活用できないかどうかも心にあった。コミックと漫画の違いは何となく感じていたが、それを科学の視点から読み解き名前を付けていくのが面白いと思ったポイント。それに加えて中央オーストラリアのビジュアル言語と対比して考察していくのも知らない世界で面白い。今後新たな学問として研究が進んでいくことに期待したい。2020/08/12
コウみん
2
マンガ学の内容を応用し、マンガ論を語った一冊。 小田切先生に見せたら漫画を読むと脳がどう反応するかの話だと言われた。(;´∀`) 日本マンガを読むとどこかの脳が反応したり。アメコミとか海外マンガを理解するには良い一冊。 2021/02/21
原玉幸子
2
漫画を読まなくなったのは嗜好が変わったから? 漫画を読むと頭が疲れるのは何故? と、本書を選びました。「コミックや漫画それ自体は言語ではない。その本質は『ビジュアル言語』である」との解析は成程なぁでしたが、コマ割り・構造他やや退屈の中だるみな章には学術さを感じず、日米の漫画とコミックの違いは分かっても、私の疑問に答えては呉れませんでした。「国民意識や文化がその国の漫画を作るのではなく、スタイル継承の伝統がその文化圏の漫画を特性づける」は、驚愕程ではなくても気付きの首肯でした。(◎2020年・冬)2020/11/20
Ecriture
2
コミックとは何か。それまでの論者が絵と文字の組み合わせで説明しようと試みたのと対照的に、「ビジュアル言語」と「書字言語」を使って書かれるものとして論じた意欲作の邦訳がついに登場。日米比較、アボリジニの砂を使った物語まで分析する。2020/09/17
ニッポニテス的遍歴
1
☆=3.5/5 漫画は「ビジュアル言語」で構成されており、ビジュアル言語は言語学のタームによってその機能が分析できる。私たちが絵を描くとき、鑑賞する時、どちらも脳に貯蔵された形式的な構造(スキーマ)が用いられる。例えばスヌーピーが屋根で寝てるシーンは、作者にとってのビジュアル語彙の一つであり繰り返して登場する。専門用語で少々読み進みにくい箇所もあるが、全体的に充実した内容。 夏目房之助や四方田『漫画原論』好きな方はこちらも。2020/08/19