内容説明
想像力の翼を羽ばたかせて現実ではないどこかへ…。夢見る子どもだったあなたに贈る珠玉のファンタジーイラスト傑作撰。
目次
夢見る時代の画家たち―世紀末からアール・デコへ
アーサー・ラッカム
エドマンド・デュラック
カイ・ニールセン
ウォルター・クレイン
ハリー・クラーク
アラステア
ジョン・オースティン
おとぎ話の図像学
著者等紹介
海野弘[ウンノヒロシ]
1939年東京生まれ。早稲田大学文学部ロシア文学科卒業。出版社勤務を経て、幅広い分野で執筆を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
197
海野弘がいう<挿絵の黄金時代>は、ラッカムにはじまる。初めてラッカムの絵を見た時(それは『ニーベルングの指輪』だったが)、これこそ自分が求めていたものだと身体のうちから沸き起こる静かな興奮に身を震わせた。その後に出会った『アリス』をはじめ、いずれも期待をまったく裏切ることはない。本書で初めて知ったのがエドマンド・デュラックとカイ・ニールセン。デュラックの出発点はラッカムにあったと思うが、彼独自のオリエンタルな線と豊かな色彩は真に魅力的だ。またニールセンは繊細さの極みだ。ル・カインに繋がっていく世界だろう。2014/11/19
積読亭くま吉(●´(エ)`●)
86
★★★★★図書館から借りたおかげで、読書が進まないシリーズ3冊目(生きものたちのつくる巣・おとぎ話の古書案内)私はコレが一番好き1800年以降の絵本の挿絵、フルサイズで紹介され、ページごとに解説もあります。マノン・レスコー、アラビアンナイト、青ひげペロー…ため息無しにページを捲れる女子は、女子にあらず(あぁとうとう暴言を吐くミラくまです)でも、この本を開かぬまま、暴言と言われるのは心外にござりまする。美しさは絶対。2015/11/19
かりさ
78
嗚呼なんて美しい。装丁から紹介されている挿絵画から幻想的美しさにうっとり。海野弘さんの詳しい歴史解説、アーサー・ラッカム、エドマンド・デュラック、カイ・ニールセン…おなじみの繊細な美しい作品たちにため息がもれます。特にラッカムの色味を抑えた大人な雰囲気の不思議な国のアリス、ニールセンのお姫様のドレスや背景の煌びやかさ(『12人の踊る姫君』は美しくてお気に入り)はこちらで見て改めて好きだわぁと気持ちを高めてました。ハリー・クラークやアラステアの妖艶さもたまりません。ゆっくり眺める至福の時間です。2016/04/24
アナーキー靴下
59
『妖精物語』でラッカムの絵に見惚れ、そういえば以前から読みたかったこの本にもラッカム載っているだろうなと手に取る。もちろんラッカムの挿絵は載っていた…けど…もう少し見たかったな…と。ニールセン多すぎない…? いや、ニールセンに罪はないけど、同出版社の『北欧の挿絵とおとぎ話の世界』で見た絵が多いせいもありやや不満…。本書だけ読むなら素晴らしい本ではあると思う。西洋おとぎ話的挿絵も素敵だけど、東洋的なデュラックの千夜一夜物語もまた魅力的。カラーばかりで白黒絵も見たいなと思ったら別本があるのか。そちらも楽しみ。2023/10/13
あじ
47
西暦1900年前後の作品を集めた挿絵集。アールヌーボー、アール・デコ、ロココ調の時代要素が色濃い。煌びやかな輪を描く波紋、一寸先をも照らさないような頼りなさ。キャンドルの灯り一つとっても表現に奥行きがある。霧の模様、織物のような大地も見事。衣装や小道具も絢爛豪華。ドレスの膨らみヘアーの盛り、しなやかな身体の曲線…。ベルばらやポーの一族を熟読した世代、Kawaii連呼の世代どちらの支持も平等に獲得しそう。収録の挿絵画家はカイ・ニールセン、アーサー・ラッカム、サロメの挿絵で名声を得たビアズリーなど。2014/06/18